PASS Laboratories ALEPH 0 | 禁断のKRELL

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PASS Laboratories ALEPH 0 モノラルパワーアンプ 1993年 アメリカ ¥1,280,000


 

 

 


鬼才、Nelson Passの心魂!

 

 

 


アンプ作りの鬼才、Nelson Passの独立後、渾身の第一作であり歴史に残る不朽の銘機である。
一般的なピュアクラスAは最大連続出力パワーの2倍の電力を消費し最高効率は50%である。
ALEPH 0に搭載された世界初のシングルエンド(非対称)A級回路は
一定電圧でバイアスがかけられ4倍の電力を消費する。最高効率は25%である。

ALEPHシリーズの特徴的な全身ヒートシンクという異様な外観は排熱される
発熱量の大きさを示している。従来のA級方式の二倍もの電気エネルギー(!)を
消費するが、至高の音楽再生ともっとも自然なサウンドを実現している。

極限までパーツ点数を削ぎ落としてシンプル化したコンストラクション、
ミッドとハイのクオリティはソリッドステートでは例を見ない水準。
とても暖かく芳醇な直熱三極管の音色と強力なソリッドステートの
ドライバビリティーが混然一体となり融合したこれは見事な製品である。

非常にHOTで濃厚で肉感的である。甘美な音色でチャーミングな音楽の表情が好ましい。
各楽器パートの分離の良さ、リアルな音像の実態感や明晰さが実聴時における
最大の長所(印象)となる。音像表現のリアリティーがきわめて高く、同時代おける
世界の列強と比較しても数段上のレベルだと感じる筈だ。
定位が良い2wayの
大型高効率スピーカー、特に中域にホーンを使った物と抜群に相性がいい。
粟立ちのよい微粒子感の細やかさに思わず目を見張るだろう。繊細でシャープ!
さほど広帯域を主張するタイプではないが、MLASほど狭いことはなく十分なレンジ感。
空間表現も広大であり、あくまで自然体の音だが、プリアンプの支配力で潜在的に
持っている強靭さを発揮し、ドラマティックなビッグバンドの強奏に心が躍った。
そして賞賛の数々が贈られてきた官能的な音楽性が持ち味だ。

真空管では得られないソリッドで彫りの深い切れ込みが心地よい。低域は少し大人しく
ボトムエンド(最低域)はややルーズで柔らかい質感である。初期のKRELLほど甘くはなく、
尻ごみする事はない。十分過ぎる程に現代的でHi-Fiサウンドだ。力強さにおいても
不満を感じることもないだろう。力感や低域はもちろんパワーアンプの支配力も大きいが、
どちらかというとプリの支配領域なのだから。「人工美的な音楽変換」に陥りがちな
現代のハイエンド機とは異なる、しなやかでPAを通さない生楽器を自然体の音で楽しめる。

 

JBL K2 S9500 S7500 S5500 EXCLUSIVE model2402で評論家の朝沼予史宏先生が
実際に試されていずれも優れた相性を示したと書き残している。

 

PASS ALEPH 0と大型高効率スピーカーとの相性の良さは折り紙つき。
朝沼先生はS7500、筆者はS5500に本機を使いました。


特集記事 STEREO SOUND 1993年 #108 198P 朝沼予史宏

 

【 主な仕様 】

実効出力:75W(8Ω)
     150W(4Ω)
     250W(2Ω)

入力インピーダンス:アンバランス…51kΩ
          バランス…7.8kΩ

SN比 : 100dB
消費電力 : 300W
電源 : AC100V、50/60Hz
外形寸法 : W305×H267×D305mm
重量 : 32.0kg(一台)


参考URL

http://nack-audio.jugem.jp/?eid=45

動画URL

https://www.youtube.com/watch?v=CxLjdRKnk1g&feature=youtu.be

https://www.youtube.com/watch?v=TDJPBSHb_14&feature=youtu.be
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


真空管の音を愛するが、JBLでJAZZを聴く方には真空管パワーだと低域がヤワだったり
低域が軽かったり、駆動力不足で低域が膨らんだり、輪郭が甘くなったり、
柳腰で線が細かったりという不満も多いと思う。JAZZのバイタリティに不足のない
真空管アンプの多くは電源トランスやアウトプットトランスが巨大化して
取扱いが困難になるし高価でもある。古くはMC275、TVA-1、新しいものならOCTAVEが
お薦めだ。個人的意見だが真空管プリを入れてパワーにはALEPH 0を組み合わせて
JBLでJAZZを聴くのがよいと思う。



評論家の朝沼予史宏先生は1993年から1998年まで6年間 K2 S7500の低域用アンプとして愛用した。

(当初は全帯域用として使用していた)


小原由夫先生はALEPH2をALTECの劇場用スピーカーに使用しておられました。
後継のXシリーズが出たとき、「スタティック(無機的)な表情が気になった」と書かれています。




※エレクトリではALEPHシリーズの修理受付を現在も行っている。


※エレクトリは正規取扱店経由でしか修理を受け付けておらず、現在待ち時間は
作業着手まで二ヶ月ほどとのこと。
料金は二万円+パーツ代で割安。パワーアンプなら実際にこの値段で収まるそうだ。






部品点数が極端に少なく、発熱は大きいが保守性は高く、メンテナンスフリー(点検不要)
を設計者のネルソン・パスは宣言しており、パーツの寿命は50年。リレーを搭載しないので
経年で音質劣化が必ず問題になるリレーの手直しや交換が不要。
代償となるポップアップノイズは非常に小さく抑えられている。トゥイーターに直結する際は
一工夫が必要だがホーンドライバーに接続する場合は問題ないだろう。(責任はもてません)
周囲の空間になにも置かないオープンエア環境は必須で、さらに強制空冷用
サーキュレーターは二台欲しい。ペアで近接設置は厳禁。搭載される巨大な
青色ブロックコンデンサーを初めとして経年変化に強い少数のパーツで固められている。
50wまでA級シングル動作し、それ以降はクラスAB、クリッピングポイントは75w。
メンテナンス(点検)履歴をチェックしたがサーミスタと抵抗の交換くらいでリペア(修理)の
実施例は正しく使っていれば"ほとんどない"のが実情の様です。「故障はほとんどないよ!」
ALEPHを数多く売ったディーラーの方から頂いたコメントをご紹介しておきます。
購入したALEPH 0も同店で販売されたワンオーナーものを下取りしたのだということです。
ネルソン・パスは本国の方ではリペア時にパーツ代の請求くらいでほとんど代金を取らないそうです。
とても良心的ですね。修理代を取らないくらい良心的ですから、故障は出したくないでしょう。
メンテナンスフリーを追求した高信頼性はシンプルな回路構成と関係性が深そうですね。
RCA入力とXLR入力に音質差は少ない。ゲインが低いのでハイゲインのFM155と
組み合わせし易く、マッチングの相性もとても良好である。発熱はやはり多いが
想像ほど酷くはない。1993年の発売当時の写真を見るとバランス・
アンバランスの切り替えスイッチが付いているので、スイッチ付きのものは
初期モデルでスイッチが省略されたものが後期型で間違いなさそうだ。

ALEPH0最大の持ち味である、真空管の暖かさと音楽性、
トランジスターのドライバビリティーと確かな骨格感の両立はあまりない。

真空管+半導体のドライバビリティーはFMアコースティックスも同様だが傾向が違う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


1 Aleph 0、2 Aleph 0s(モノ0をステレオに凝縮)、3 Aleph 1(モノラル0の上位機種さらに巨大)、
4 Aleph 2(モノラル0の後継でダウンサイズ)、5 Aleph 3(ステレオ最小モデル30w)、6 Aleph 4(ステレオ1.2のステレオ版)、
7 Aleph 5(モノラル2のステレオ化) 8 Aleph1.2(モノラル・最大モデル1の後継機でモノラル、最高峰モデル)



初期KRELLはJAZZのバイタリティ、筋肉質なエネルギー感、低音の力感、
エモーショナルな表現力でALEPHに勝る。温泉にいるかのような
ほのかな暖かみが心地よい。KSA-50を高能率ドライバーのマルチ用として
ドライブさせてもノイズ感がなくS/N比にとても優れている。



ALEPHは硬さのしっかりでる「音像の克明さ」、彫りの深さ、音像の立体感、
音場の広大さ、温度感の高さ、ハイフィディリティ性能のよさで初期KRELLにまさる。
非常にHOTで濃厚で肉感的。総合的には甲乙付け難い良い勝負をする。








現代の最新の高額モデルと比較すると性能差は若干あるが、ほとんど見劣りしない。
1990年代半ばの年代でアナログアンプはかなり完成されている。


アナログアンプはローテクの塊ですからね、腕の良い職人芸の世界です。
昔が今に劣るなんてことはありません!


こなれた市場価格や音質的にも他では得られない独自のメリットがあり、今日的に見ても魅力度はきわめて大きい。