メンタリストDaiGoの「秒で見抜くスナップジャッジメント」の中から、をウソを見抜く4つの戦略(他人の嘘はここまで分かる)」をまとめてみます。

 

DaiGoは、「他人の嘘は目で見抜け」「人間は、嘘をつくと声色が変わる」「やましいことがある人は無意識に髪の毛に手をやる」「足を何度でも組み替える」などのテクニックは、根拠に乏しく実用性はありませんと主張しています。足を組み替えることが「癖」になっている人、「何気なく」髪をいじる人、「びっくりして」声色を変える人がいるでしょう。たまたま、これらの動作等と嘘が一緒になっただけかもしれません。そうでなくともノイズが多すぎます

 

対案として、DaiGoは、①シュミレーション戦略、②言語フォーカス、③無意識を信じる、④他人を無暗に信用する、⑤リードテクニックが有効であると述べています。おまけとして、⑥「バレない嘘をつく4つの方法」も述べています。

 

① シュミレーション戦略

 

これは、相手の身になって考えてみることです。相手は、この状況についてどのように行動するかです。単純なように見えて着実な効果が期待できます。

 

シカゴ大学の実験では、様々な表情を浮かべた男女の写真を被験者に見せ、「この人たちの心を読んでください」と指示しました。その上で、㋐理論化戦術をとったグループと、㋑シュミレーション戦略をとったグループに分けました。

㋐の理論化戦術とは、写真の表情やボディランゲージを基に心を読もうとするグループです。㋑シュミレーション戦略とは、「私が写真の人だったら何を思うあろう」と想像するグループです。

 

結果は、シュミレーショングループの大勝利でした。他人の立場で考えた方がよほど相手の心を見抜く、=嘘を見抜くには有効なわけです。ただし、相手の立場に立って、思考や感情を追体験する必要があり、相手の脳と自分の脳をシンクロさせなければなりません。高い共感性が必要です。

相手との会話中に、「いま相手の立場だったら、何を考えるだろうか」いイメージしてください。

これだけで、嘘を見抜く技術が着実に進歩します。

 

 

 

② 言語フォーカス戦略

カリフォルニア大学の心理学者・エドワード・ガイゼルマン博士は、嘘をついている人特有の話し方をリストアップしました。それによると、、、

いつもより話が長くなる

より細かい内容を語る

・質問に答える前に、その質問を繰り返す

・話のテンポが早くなる

・ひとつのセンテンスの中で、話の抑揚が大げさに変わる。

・「思う」や「かも」「だろう」などの曖昧な言葉遣いが増える。

・「実は」や「正直にいうと」と言った前置きが増える。

・「あの会社」、「あの人」のように対象と距離を置くような言葉遣いが増える。

・「私は」「自分を」といった一人称が多くなる。

・「楽しい」や「興奮」のようなポジティブな単語が増える。

一般的に、嘘をつく罪悪感や事実がばれる不安から、話題と自分との距離を置こうとする傾向があります。(なお、「楽しい」、「興奮」という単語は、そのような単語を普段から使用している場合は、有効ではありません。普段と違う言葉を用いた場合に注意します。)

 

 

3 無意識を信じる

 

デンバー大学での実験です。色々考えて嘘を見抜くよりも、直感に従った方が嘘を見抜ける確率が上がるというデータです。

 

デンバー大学の実験では、①じっくりと動画を見て考えながら嘘つきを当てる、②17秒だけ動画の人物を見て嘘つきか判断するで、嘘を立てる確率を比べました。その結果、

 

②の17秒だけ動画を見て判断したグループが、①のグループに比べて13%当たる確率が増えました。

私たちは、生存のために嘘を見抜く能力を無意識のうちに身に着けたのかもしれせん。意識が出すぎて考えすぎるとせっかくのパワーが押さえつけられてしまうのもしれません。片手間の状態で向こうの話を聴くこと。そして、自らが持つ天然の嘘発見器を活かすことです。

 

④ 他人を無暗に信用する戦略

 

「騙されたふりをすること」は、意外な効果を発揮します。

 

学生を対象にした実験がありました。性格テストを行い、①「疑り深い性質」と②「人を信じやすい性質」の2つに分類します。その後で、架空の就職面接シーンをおさめたビデオを見てもらいます。そして、経歴を偽っている人を見抜くよう指示しました。

 

その結果、②の信じてしまう人の方が、10~20%も嘘つきを見抜いていたのです。

なぜ、このような結果になったのでしょうか。

人を信頼する人は、純粋にコミュニケーションを楽しむ傾向があるため、会話もおおらかな態度で臨みます。すると、自然に向こうの発言や態度に幅広い観察ができるようになります。お陰で普段見逃しやすい相手の情報に気づき、嘘を見抜く能力も高まります。

逆に、人を信頼しない人は、疑りの目で会話に臨むため、いかにも怪しそうな表情にばかり意識が向かいます。(視野が狭くなります。その結果、)向こうが発する重要なサインを見逃してしまいます。

 

微表情が現れるのは同じであっても、ノイズを多くしてしまうか、それを最小化させて発見しやすくするかの差異と考えられます。

また、嘘を見抜く能力が高まれば、自然と自分を騙そうとする人たちを遠ざけることができます。周囲から嘘つきが減り、自分が騙される確率も減ってきます。そうすると、ますます他人を信じるようになり、嘘を見抜く能力が高まります。この好循環が続くのです。人を信じない人はその逆です。スパイラルをどちらの方向に向けるかが大切になります。

「他人への信頼」と「嘘を見抜く能力」とは互いに影響を与え合っているのです。

 

また、あえて騙されてみること、真偽が分からない場合に、そこで打ち切るのではなく、相手の言葉にあえて乗ってみることもときには有効です。

相手にそのシナリオをどんどん言わせて、それが形と筋との整合性をみるのです。そのためには、途中で疑いを差し挟むのではなく、相手のシナリオに乗ってしまう方が得策な場合があります。

 

⑤ リードテクニック

 

相手の言葉が怪しいのに、今一つ嘘かどうかの見極めがつかない場合に用いる質問テクニックです。

 

ミシガン州立大学の実験。被験者に金銭の取引が絡んだゲームをしてもらい、その際、2人だけ「自由にズルをしてお金を奪ってもいいですよ」と持ち掛けました。続いて、別の被験者に「ゲームでズルをしてお金を奪った人(被験者)」に、その嘘を見抜くための質問を行いました。これがリードテクニックです。

 

普通は、「あなたはズルをしましたか?」と尋ねるでしょう。

しかし、リードテクニックでは、ズルをしたことを前提に尋ねるのです。3つのステップが必要です。すなわち、責任転嫁の促進、否定の否定、犯行前提の質問です。

 

ステップ1・責任転嫁の促進

例えば、「あなたがズルを思いついたんではないですよね。研究者に言われてやったことですから。」と切り出します。要するに、あなた以外にも悪い人はいると切り出す訳です。嘘をついた責任をいったん軽くします。中には、ここで嘘を自白する被験者もいます。

 

ステップ2:否定の否定

もし、被験者が「自分はやっていない」と言いそうになったら、その発言を止めます。例えば、「今は、こちらがしゃべっているので」「それは後で聞きます」というように。

なぜなら、相手が否定の言葉をしゃべってしまうと、その否定の数だけ、態度が頑なになり、自白率が下がるからです。相手に否定の言葉を言わせないこと。

 

ステップ3:犯行前提の質問

例えば、「あなたは、ゲームの前からズルをする方法を思いついたのですか。それとも、ゲームが始まってからズルをする方法を思いついたのですか?」

こうすることで相手は、とっさに回答を思いつかず、心に大きな動揺が走ります。「私はズルはしていないです。」と言っても不自然な態度が出てしまいます。

実験では、97%まで嘘を見抜く確率が上昇したとのことです。

 

⑥ おまけ バレない嘘をつく4つの方法

 

(悪用禁止でお願いします。)DaiGoは、次の4つが有効であると述べています。㋐普段から小さな嘘をつき続ける。㋑とにかく素早くリアクションする。㋒できるだけゆっくりしゃべる。㋓おしっこを我慢する。

 

ア 普段から小さな嘘をつき続ける。

 

 「昔から不良だった」「禁煙に成功した」など普段から細かな嘘をつき続けていると、人を騙すのに上手くなりますし、嘘をつく際の動揺を抑えることに繋がります(小さな嘘には人間の感覚を麻痺させる作用があります。)。⇒普段から嘘をつき続けている人の脳をMRIで調べた結果、余り嘘をつかない人の脳に比べて、偏桃体が活性しにくかったというレポートが出ています。偏桃体は脳の不安や喜びなどに関わるエリアです。嘘つきこそ、相手を騙しても心が動きにくいことを示しています。

 

日常的に小さい嘘をついておくと、やがて人を騙しても動揺しないメンタルが成長、自信満々で嘘がつけるようになる(作り話の説得力がましていきます。)。

 

イ とにかく素早くリアクションする

 

説得力の調査です。クイーンズランド大学の実験。集まった学生たち全員に「宝石の名前をできるだけ挙げてください」といったクイズを出しました。同時に「IQ検査」と「性格検査」もしました。その後、被験者たちの友人に普段からどれくらい彼らの会話に説得力があるのかインタビューをして調べました。

すると、言葉の説得力を高めるポイントは、IQでもなく、性格の良さでもなく、なんと、「会話の反応スピート」だったのです。

返事の内容が正しいかとか、的を得た返答をしたかは、大きな問題ではなく、「素早くリアクションを取れる」かどうかがキーポイントだったのです。

 

話を相手に納得させるには、普段の会話からスピーディーな反応を心がけて自分の説得力を高めておくのが得策です。

スピーディーな反応を得るための対策の一つが「バックトラッキング」です。

相手の言葉を少しだけ「変えて」返す方法です。

・「あの人は本当にムカつく」⇒(返答)「確かにイラっとするよね」

・「今日はいい天気ですね」⇒(返答)「雲がほとんどないですね」

オウム返しですが、少しだけ変えることがポイント。変えた方が面白いのですが、変えずにリピートしても、口ごもるよりも効果があります。

 

もう一つが「頭だしチャンク」

どんな会話でも使えそうな定型文をあらかじめ用意しておく手法です。

「その〇〇の定義は何ですか」(難しい質問の場合)

「その問題の前提が間違ってないかな?」(時間稼ぎ)

「争いが同じレベルの者同士でしか発生しないからね。」(嫌な相手からのトラブル相談)

「どんな問題も、それが起きたときと同じレベルで考えていちゃ解決できないよ」

「〇〇さんなら何ていうかな」(第三者に丸投げ+時間稼ぎ)(〇〇さんは相手が尊敬している人物を入れると効果的)

 

ウ できるだけゆっくりしゃべる

嘘をついている人の話はハイスピードになる傾向があります(わざと嘘をつくよう命じられた被験者は平均で11%ほど話が早くなります)。)。嘘がばれないためには、その逆をいきます。

逆に言えば、ゆっくり話すことを心がければ、話の信頼度を上げることができるということです。知り合い(又は知っているタレント)の中に会話のテンポが遅い人をイメージし、その人の物まねをするつもりで会話するようにするのも一方法です。(やりすぎると逆効果なので、ほどほどに)

 

エ おしっこを我慢する。

カリフォルニア州立大学の実験では、被験者に架空のインタビューを受けさせ、全員にわざと嘘をつくように指示しました。このとき被験者は700mlの水を飲み、尿意を我慢しながらインタビューに臨んだそうです。

第三者にそれを撮影した動画をみせました。その結果、事前に大量の水を飲んだ被験者ほど嘘がばれにくくなる事実が判明しました。尿意を我慢した被験者には嘘つき特有の返還が現れず、言葉のペースも、単語の選び方も一定のペースでした。

これは、脳の「抑制機能」に関わる行動だからです。抑制機能は、人間の衝動をコントロールするための能力で、これは、尿意を我慢していると、既にこのスイッチがオンの状態になっています。すると、嘘がばれにくくする抑制効果が働くのです。

これを「抑制機能流出効果」というようです。

 

これは自分の衝動を抑えるためにも使えます。買物の最中に大量の水を飲むと、衝動買いを抑えられるのかもしれません。

 

以上で、「嘘を見抜く技術の嘘」のシリーズを終了します。次回から、「嘘を見抜く技術」を別角度から見ていくことにします。