「今世紀最大の新興宗教といったら、やっぱりマルキシズムだろうな。まったくとんでもない宗教だった」(ビートたけし)
”宗教はアヘンである”として排斥したマルクス主義が、実は最大の新興宗教だったというのですから、これほどの逆説もありません。
20世紀の末、ソ連や東欧の革命で、マルクス主義は大崩壊。マルクスの理想を実現しようとしたレーニンの像も、撤去され、ソ連はすでに消滅してしまいました。
残る中国も内部からジワジワ資本主義化しつつありますし、キューバ、北朝鮮も時間の問題でしょう。
かつては多くの知識人を魅了し20世紀の世界を2分するほどの勢力をほこったマルクス主義が、どうしてこんなみじめな結末になってしまったのでしょうか。
たけしは言います。
「マルクス教信者たちは、人間がいかに言うことをきかねえか、だらしねえか、ダメなものかというのが、全然わかっていなかった」
そのとおり。マルクスの人間観そのものが、根本的に誤っていたのです。
彼らがめざした共産主義社会とは、「能力に応じて働き、必要に応じて報酬を受ける」社会であるとされています。
「能力に応じて働き、必要に応じて報酬を受ける」社会
は実現せず、多くの負の遺産を残して崩壊した。単純に数字で示せば、100の能力もつ者は100、70の者は70、40の者は40働けというのです。たとえそれが実現可能としても、全体の生産量210を、必要に応じて(すなわち平等に)分配すれば、1人は70ずつ。40しか働かなかった人は喜ぶでしょうが、100働いた人は、これではたまりません。バカバカしい、やーめた、となって70しか働かなくなるでしょう。
すると全体量が180に下がりますから、分配されるのは60。今度は70働いた人からも不平が出るでしょう。
しかもノーメンクラツーラという特権階級の連中が、大衆から搾取していたのですから、実際の分配量はもっと低かった。
結局、「マルクス主義は、平等に貧しくなる思想」と皮肉られる始末。人間の欲望を無視した社会体制の破綻を、ここに見ることができます。
正しい人間観に立脚しなければ、幸福な社会の実現はありえないのです。