3月20日、Asahi.comで、下記のようなニュースが掲載されました。
私は岩手出身なので、沿岸の街のニュースを見るたびに心が痛みます。
身内に直接被害はなかったのですが、小さいころ行った海が影も形もなく瓦礫に埋もれていると思うと、言葉も出ません。
そんなときに悲しい記事を発見しました。
NY TimesのMakiko Inoueによる 「Japanese Town Mulls Future Without Waling Industry」 という記事です。
訳せば、「日本の町、捕鯨産業なしの未来に頭を悩ます」といった感じでしょうか。
NY Timesの記事は、捕鯨が壊滅したことを、一見冷静にレポートしながらも、明らかに、Asahi.comのような、震災に苦しむ人の心労にフォーカスした記事ではありませんでした。
特に、下記の文章を読んだとき、通勤電車の中にいながら、ちょっと震えがきました。
Japan’s tsunami seems to have succeeded — where years of boycotts, protests and high-seas chases by Western environmentalists had failed — in knocking out a pillar of the nation’s whaling industry. Ayukawahama was one of only four communities in Japan that defiantly carried on whaling and eating whales as a part of the local culture, even as the rest of the nation lost interest in whale meat.
日本の津波は、西洋の環境保護主義者が長年のボイコット、抗議、追跡ではなしえなかった、捕鯨産業の屋台骨をへし折った。
日本の残りの地域がほぼ鯨肉に興味を失っているなか、
鮎川は、挑戦的に捕鯨を続け、鯨を食べ続ける日本の4つの地域のひとつである。
記事に出てくるのは、牡鹿町の鮎川捕鯨 今回の津波でとても被害がひどかった地域です。
捕鯨ではずいぶん歴史のある街なのだそうです。
私が、ショックだったのは、記事のポイントが、捕鯨問題であって、被災者のコメントが捕鯨反対者を意識した扇動的なものであること。
レポートの最後は、被害で苦しむ人たちのコメントをもじって、面白おかしく、下記のように締めくくってありました。
Added his friend, Tatsuya Sato, 20, “We are so hungry that if they brought a whale ashore now, the whole town would rush down to eat it.”
彼の友達、サトウタツヤさん20歳は次のように付け加えた。
「私たちはとてもおなかがすいているので、もし捕鯨船が鯨を岸につれてきたら、町全体で駆け寄って食べちゃいますよ」
家族、友達、家と本当に大事なものを失って苦しむ人たちの未来の再建手段を、このような形で取り上げるのは、信じられなかった。
多分、NYではこの記事ですごく読者の関心を引けるのでしょう。
でも、日本人として、震災の報道を毎日見ている私は、「世界ワースト報道賞」があったら、この記事に一票を投じたいな。非常に残念な気持ちでいっぱいです。
とおもったら、今朝、止めの一発で、NYの友人から一枚の写真が添付されたEメールが届きました。
鯨の絵が付いたバッチに「絶滅は永遠」
ジョークなんだろうけど、タイミング悪すぎて全く笑えない。



