「エミリー、私達今夜からこの屋根裏部屋暮らすことになったのよ。」
「あなたが、よく座っていた揺り椅子や私の勉強机も、もう私達のものではないの。」
「ここは、もう別の世界。」
仕事が終わったベッキーがセーラの部屋を訪ねる。
ベッキー
「こんな、ひどいお部屋に、ろうそくもなしで、おひとりで。」
「お嬢様が、こんな目にあわれるなんて、いくらなんでも、酷すぎます。」
「私、お嬢様がお気の毒で。」
セーラ
「私、前にあなたにお話したことがあったわ。私もあなたも同じ女の子だって。」
「だから、私のために心配してくれなくてもいいのよ。」
ベッキーが気を利かせてくれて、誕生パーティーのプレゼントを運んでくれた。
セーラ
「ロッティとアーメンガードと、もうお友達ではいられなくなってしまったわ。」
「ベッキーがいてくれるわ。今の私にはベッキーだけが最後の友達。」
やがて、ろうそくの火も消えて、真っ暗な屋根裏部屋で、初めての夜を過ごす。
そして、朝が来た。窓をあけ外の景色を眺める。
ベッキー
「おはようございます、お嬢様。あの、御召し替えのお手伝いを・・・」
セーラ
「まあ、ベッキーったら、着替える必要ないのよ。私、これだけですもの。」
ベッキー
「では、お部屋のお掃除を」
セーラ
「いいのよベッキー、だって、これからはなんでも、自分でやらなくてはいけないんですもの。」
部屋を出て院長室へ向かうと、かつてのセーラの部屋の扉が開いている。
部屋の家具や荷物は全て持ち出されている。窓から外を見るとセーラの荷物を積んだ馬車が走っていく。
セーラの専属メイドだったマリエットが解雇され、学院を去るところだった。