お隣に潤ちゃんの家族が越してきたのは、俺が4歳、弟の和也は2歳のときだった
目が大きくて長い睫毛、唇に小さなホクロがあって、笑うとすごく可愛くてドキドキした
同じ歳だった俺と潤ちゃんは同じ保育園に通い、同じ小学校、中学校に通った
一人っ子の潤ちゃんはしょっちゅう俺の家に遊びにきていたし、俺たちもよく潤ちゃんの家に遊びにいった。
潤ちゃんのお気に入りの遊びは2歳年下の和を相手の美容師さんごっこ
身体が小さくて色白でくりっと瞳、優しげな顔立ちがまるで女の子みたいだった和
そんな和が可愛くて仕方なかった潤ちゃんは髪をブラシでとかし自分のカチューシャをつけたり、細い髪を集めてゴムで束ねてリボンをつけたり…小さな手を握ったり、プニプニした頬を摘まんでみたりして
しまいに
和は嫌がる素振りは一度も見せたことがなくて、むしろ潤ちゃんに構ってもらえるのが嬉しくていつもニコニコ笑っていた
和は潤ちゃんが大好きだった
和は潤ちゃんの愛情を一身に受けている喜びに満ち溢れている
それを聞いた時、怒りで身体がカッと熱くなるのを感じた
潤ちゃんは毎朝乗る電車で、同じ男につきまとわれて困っていたのだった
初めは隣にいることが多いなって感じる程度だったが、顔をじっと見てきたり、身体を密着させてきたり、大人しい潤ちゃんが、怖くて何も言い出せないのをいいことに、行動は徐々にエスカレートしていった
夕暮れ時の公園のベンチでポツリポツリとやっと話し終わると、潤ちゃんは下を向いて泣き始めた。
細い肩が小刻みに震えている
俺の両手が自然に動き、震えてる肩に手をかけそっと引き寄せた
何も抵抗することなく潤ちゃんの身体は、僕の腕の中に倒れ込んできた
俺は潤ちゃんを優しく抱きしめながら、言葉をかけた
むしろ、大好きな人を守っているという使命感が心を高揚させていた
それは高校卒業まで続いた
俺がいつも隣にいるから、潤ちゃんはいつも安心していられる…そんな喜びが顔に現れているのを、和は見逃さなかった
このことは誰にも言ってないので、理由を知らない和だが、2人の間の空気が急に変わっていったのはすぐに感じていた
潤ちゃんは相変わらず僕に優しい
潤ちゃんは今だって僕のことが好きだ
少しずつ大人になって、憧れの人に恋心を抱いていた潤ちゃん
仕方のないことだ…いつまでもオママゴトして楽しんでる子どもじゃないんだ
でも、その人は潤ちゃんの思いに応えることはないだろう…
だから、いつかまた…きっと…
僕がもう少し大人になるまで、
1人の男として見てもらえるようになるまで
どうか誰のものにもならないで…
いつもそう願っていた
でも、最近潤ちゃんは今までとはあきらかに違う雰囲気を漂わせている
潤ちゃんは恋をしてる…
憧れとかじゃない
本当の恋をしているんだ
視線の先にいるのは…
翔兄ぃだった
何があったのかは知らないけど、今まで潤ちゃんにずっと片思いだった翔兄ぃに、今度は潤ちゃんが片思いしてる…
僕は初めて焦りを感じた
シャイな2人の片思いがどうか繋がることのないようにと祈った
でも、それは無駄なことだった
和くん可愛い~!
って、ぎゅ~っと抱き締めた
って、ぎゅ~っと抱き締めた
和は嫌がる素振りは一度も見せたことがなくて、むしろ潤ちゃんに構ってもらえるのが嬉しくていつもニコニコ笑っていた
和は潤ちゃんが大好きだった
和は潤ちゃんの愛情を一身に受けている喜びに満ち溢れている
大袈裟かもしれないけれど、当時の俺はそんな思いでいっぱいだった
潤ちゃんの愛情を独り占めしている和を俺はいつも羨ましくて仕方なかった
俺だって潤ちゃんのことが好きだったけど、同い年の俺は和みたいには当然甘えることはできず指をくわえて見ているだけだった
やがて歳を重ねるごとに潤ちゃんの興味は別の人へと変わっていった…それは俺じゃない
勿論、いつだって和には優しかったけど、みんな身体も心も少しずつ大人になっていく
俺の潤ちゃんに対する思いもはっきりとした恋心に変わっていった…そして和も…
同じ学校に通っていたから、接点は多かったし仲良しなのは変わらなかったが、2人の距離が友達以上に縮まることはなかった
でもあることがキッカケで、俺と潤ちゃんの2人の仲は急速に近づいていった
別々の高校に通うことになった俺ら。電車で通学するようになり、潤ちゃんはいつも決まった時間の電車にのり、俺は潤ちゃんと同じだったり、遅れてみたりとバラバラだった
ある日のこと、帰宅の電車で潤ちゃんと一緒になり声をかけた。潤ちゃんはすごく落ち込んだ顔をしていたが、同時に俺の顔を見てすごくほっとした顔を見せた
何かあったと直感した俺は、なかなか言い出せずにいた潤ちゃんから、やっと事情を聞き出した
潤ちゃんの愛情を独り占めしている和を俺はいつも羨ましくて仕方なかった
俺だって潤ちゃんのことが好きだったけど、同い年の俺は和みたいには当然甘えることはできず指をくわえて見ているだけだった
やがて歳を重ねるごとに潤ちゃんの興味は別の人へと変わっていった…それは俺じゃない
勿論、いつだって和には優しかったけど、みんな身体も心も少しずつ大人になっていく
俺の潤ちゃんに対する思いもはっきりとした恋心に変わっていった…そして和も…
同じ学校に通っていたから、接点は多かったし仲良しなのは変わらなかったが、2人の距離が友達以上に縮まることはなかった
でもあることがキッカケで、俺と潤ちゃんの2人の仲は急速に近づいていった
別々の高校に通うことになった俺ら。電車で通学するようになり、潤ちゃんはいつも決まった時間の電車にのり、俺は潤ちゃんと同じだったり、遅れてみたりとバラバラだった
ある日のこと、帰宅の電車で潤ちゃんと一緒になり声をかけた。潤ちゃんはすごく落ち込んだ顔をしていたが、同時に俺の顔を見てすごくほっとした顔を見せた
何かあったと直感した俺は、なかなか言い出せずにいた潤ちゃんから、やっと事情を聞き出した
それを聞いた時、怒りで身体がカッと熱くなるのを感じた
潤ちゃんは毎朝乗る電車で、同じ男につきまとわれて困っていたのだった
初めは隣にいることが多いなって感じる程度だったが、顔をじっと見てきたり、身体を密着させてきたり、大人しい潤ちゃんが、怖くて何も言い出せないのをいいことに、行動は徐々にエスカレートしていった
夕暮れ時の公園のベンチでポツリポツリとやっと話し終わると、潤ちゃんは下を向いて泣き始めた。
細い肩が小刻みに震えている
俺の両手が自然に動き、震えてる肩に手をかけそっと引き寄せた
何も抵抗することなく潤ちゃんの身体は、僕の腕の中に倒れ込んできた
俺は潤ちゃんを優しく抱きしめながら、言葉をかけた
潤ちゃん、大丈夫だよ…明日から俺が毎日同じ電車に乗って潤ちゃんのことずっと守ってあげるよ。だから安心して…大丈夫、大丈夫だよ…俺がついてるからね
潤ちゃんがうんうんって何度か小さく頷いた
潤ちゃん、ゴメンね…俺何も知らなくて…いつも同じ電車に乗っていればよかったのに…ゴメンね…でも、もう大丈夫だからね、俺が必ず守ってあげる、だから大丈夫、大丈夫だよ
しょおくん…
心がきゅっとなるのを感じたが、俺はちゃんと教えられたルールを守った
次の日から俺は毎日潤ちゃんと同じ電車に乗り、その側から離れなかった
潤ちゃんの側に男がいると、相手がどんなヤツでも身体でガードして近づけないようにした
俺はいつも一つ手前の駅で降りるのだが、潤ちゃんが降りる次の駅まで乗り、一緒に電車を降りて改札口まで送り、無事通り抜けるのを見届けた後で、急いで引き返し手前の駅まで戻った。
面倒だなんて一度も思ったことはなかった
潤ちゃんがうんうんって何度か小さく頷いた
潤ちゃん、ゴメンね…俺何も知らなくて…いつも同じ電車に乗っていればよかったのに…ゴメンね…でも、もう大丈夫だからね、俺が必ず守ってあげる、だから大丈夫、大丈夫だよ
しょおくん…
心がきゅっとなるのを感じたが、俺はちゃんと教えられたルールを守った
次の日から俺は毎日潤ちゃんと同じ電車に乗り、その側から離れなかった
潤ちゃんの側に男がいると、相手がどんなヤツでも身体でガードして近づけないようにした
俺はいつも一つ手前の駅で降りるのだが、潤ちゃんが降りる次の駅まで乗り、一緒に電車を降りて改札口まで送り、無事通り抜けるのを見届けた後で、急いで引き返し手前の駅まで戻った。
面倒だなんて一度も思ったことはなかった
むしろ、大好きな人を守っているという使命感が心を高揚させていた
それは高校卒業まで続いた
俺がいつも隣にいるから、潤ちゃんはいつも安心していられる…そんな喜びが顔に現れているのを、和は見逃さなかった
このことは誰にも言ってないので、理由を知らない和だが、2人の間の空気が急に変わっていったのはすぐに感じていた
潤ちゃんは相変わらず僕に優しい
潤ちゃんは今だって僕のことが好きだ
少しずつ大人になって、憧れの人に恋心を抱いていた潤ちゃん
仕方のないことだ…いつまでもオママゴトして楽しんでる子どもじゃないんだ
でも、その人は潤ちゃんの思いに応えることはないだろう…
だから、いつかまた…きっと…
僕がもう少し大人になるまで、
1人の男として見てもらえるようになるまで
どうか誰のものにもならないで…
いつもそう願っていた
でも、最近潤ちゃんは今までとはあきらかに違う雰囲気を漂わせている
潤ちゃんは恋をしてる…
憧れとかじゃない
本当の恋をしているんだ
視線の先にいるのは…
翔兄ぃだった
何があったのかは知らないけど、今まで潤ちゃんにずっと片思いだった翔兄ぃに、今度は潤ちゃんが片思いしてる…
僕は初めて焦りを感じた
シャイな2人の片思いがどうか繋がることのないようにと祈った
でも、それは無駄なことだった