つづきです






今日買ったサプリメントは口にしていない。
今まで買ったものも、全然効果は感じられなかった。

ならば、なぜ…?

あまりにも性的な行為から遠ざかっていたために、僅かな刺激に反応してしまったのだろうか?
だが、相変わらず裸の女性がクネクネしている動画を見ても気分はのらない。

それどころか、名前も知らない彼の…

顔が、

肌が、

声が。

まるで写真のように
俺の記憶に焼き付けられていた。




あの薬局に行きたい気持ちとは裏腹に、俺の足がそこへ向かうことはなかった。
仕事が忙しいのもあったが、彼を…
自慰のオカズにしてしまった罪悪感に苛まれたからだ。


「ねぇ、この後時間ある?」


そう言って腕を絡めてきたのは、何度か一緒に仕事をしたことのあるモデルの女性。


「いや、俺は…」

「良いじゃない、食事でも行きましょうよ。
仕事仲間なんだものコミュニケーションも大事よ?」


モデル事務所のスタッフも含めてと言うので、仕方なく同意したのだが…
そのスタッフも 1人減り、2人減り

いつの間にか、俺と彼女のふたりだけが個室に取り残されていた。

…しまった。
酒が入っていたこともあり、油断していたようだ。

大きく胸元が開いたワンピース。
谷間を強調させるように、こちらに見せつけている。


「ちょっと失礼」


席を立ち、その場を離れると
トイレで深いため息をついた。

以前の俺なら、お持ち帰り…なんてことを考えたかもしれないが、今はそんな気は微塵も起きない。
そうなった時に勃たないことを恐れて…というよりも、あの女性になんの魅力も感じないからだ。

彼女の、ただ大きいだけの胸は脂肪の塊だ。
肌だって彼の方が、ずっと綺麗でモチモチしていて…

…今すぐ、彼に触れたい

そう思った。


俺は会計を済ませると、急な仕事が入ったと彼女に告げ店を出た。
タクシーに乗り込むと、あの…彼のいる薬局へと向かっていた。





つづく