軽くBL含みますので、苦手な方はお戻りください。












スゥ…ハァ…


深く息を吐き、カズが忘れて行ったシャツに顔を埋める。

いつもの匂い。
カズんちのボディソープと…それに混じって少し甘い香りがする。
いけないと思いつつも止められない手が、股間で激しく上下していた。

…っあ。

手慣れた行為。
自分の気持ちいいところなんて、もう知り尽くしている。
しっかりと根本を握り、浮かせた人差し指で時折先端を刺激する。
リズミカルに扱きながら、まるで自分の手がカズの狭い場所であるかのように腰を送り込んで…


「んっ///カズっ」

「まーくん、ごめん。シャツ忘れちゃった」

「?!!」


突然開けられたドア。
ノックなんて…
あったのかもしれないけど、自慰行為に夢中だったオレが気づくはずもない。
…いや、多分しなかったと思う。
だって、オレたちの部屋は昔から出入り自由。それは高校生になった今でも変わらない。

驚き、ビクッと顔を上げたタイミングと、散々刺激していたそこが爆発するタイミング。そして、手元に置いてあったティッシュの箱へと手を伸ばすタイミング…

全てが予定外の動きをした結果、細い精道を抜けた粘液は高く噴き上げ、オレの…

幼馴染であり
オナニーのおかずにするほどに好きな相手の顔に、高い弧を描きながら飛び散った。


「え…あ…」

「…っ、ぅわ!カズ、ごめん!」


あまりのことに、カズは言葉も出ない様子。
慌ててティッシュの箱を引き寄せ、自分の手とカズの頬を拭う。
どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう。
見られただけでも超絶気まずいのに、顔にひっかけちゃうなんて。
もう、どうしたらいいのか分からず…
カズの背中に手を掛け、ぐいぐいとドアの外に押し出すと、そのまま座り込んだ。


…しばらくの間、(まぁくん)と ドア越しにカズの声がしていたが、それもいつしか消え

しん、とした部屋の中


「明日からどんな顔をして会ったら良いんだろう…」


と、項垂れるオレの声だけが響いていた。







オレとカズは 家が近く、幼稚園のころからずっと一緒で。
親同士が仲が良かったというのも大きいが、とにかく気が合った。
年はオレの方が一つ上だったのだけれど、何でも言えるし隠し事なんて何もない。
好きなマンガ、好きなテレビ番組、好きなゲーム…
どれもがみんな同じで、オレの横にはカズがいるのが当たり前。
学校が終われば、どちらかが相手の家に行くというのがオレたちの日常だった。

…だったんだ、けど。

2ヶ月くらい前のある日
カズの部屋に行くと、気持ちよさそうにベッドで寝ていて。このところ買ったばかりのゲームをやりこんでいたから、きっと夜遅くまで起きていたんだろう。
オレはベッドの横に座り込み、今日発売したばかりのマンガを手に取り、読んでいた。

「まぁ…く…」

名前を呼ばれた気がしてカズを見れば
まだぐっすりと眠っていて。
何となく…
本当に、何となく
丸まって眠っているカズの顔に自分の顔を近づけたんだ。

ちょっと待って。
カズってこんなに肌キレイだった?
高校生になったオレのアゴには、ちょびっとだけ生え始めたヒゲがザラザラしているのに、それがカズには全然見当たらなくて。
そっと…触れてみれば、手のひらに吸い付くほどしっとりとしていて柔らかかった。

うわ、気持ちいい…

怖いくらいの胸の高鳴りが
オレから現実感を奪い、これが夢の中の出来事のような気にさせる。

目の前の、可憐な花びらのような唇が
誘うように薄く開いて
ダメだ…と思うよりも前に、その唇に自分の唇を重ねてしまった。

…っ!///

経験したことのない柔らかな感触に
慌てて体を離したけれど

もう、忘れることはできなかった。


そうして、オレは初めて…
カズに言えない秘密を持ってしまったんだ。






つづく



miu