つづきです
安定のカメ更新でございます( ・∇・)
高校生の頃に、自分の恋愛対象が同性なのだと気付いてから、生まれ育ったこの閉鎖的なコミュニティに息苦しさを感じていたオレは、大学進学を理由に地元を離れた。
…東京ってすごいよね。
当たり前だけど、オレを知っている人なんて誰もいなくてさ?
そういう解放感からなのか、新しい生活にも直ぐに慣れ、彼が出来たんだけど。
これがまた…絵に描いたようなクズ男で。
自分で言うのもなんだけど、面食いなんだろうね。顔で好きになっちゃう。
そして、見事に同じタイプばっかり。
金にだらしなくて、下半身も節操がない。それでいて束縛だけは激しいとか。
だからね。
これまでの経験上、オレが顔で好きになってしまう相手は、多分…十中八九 ダメ男なのよ。笑
大学を出て、それでも2年くらいは東京で仕事してたんだけど、結局…
色んなことに疲れて、地元に戻ってきたの。
生き辛さを感じて離れた、この場所に。
ちょっとしたことでも噂になってしまうような狭い街は、親切心と詮索好きの区別もつかない。
…だから、オレは顔を出さず
目立つようなことは極力しないと決めた。
まっさんは中学からの同級生で、唯一…全部を知っている人。それでも友達でいてくれているんだから、奇特だよね。笑
地元に戻ってきた時も、就職先を探していたオレにこのラジオ局を紹介してくれたし。
ほんと、感謝しかない。
「…見てるだけで良いの。観賞用だから」
「慎重になるのは分かるけど、自分の気持ちを否定するのはやめておけよ?」
「……うん」
まっさんは、オレの頭をぽんと撫で
手をひらひらさせて戻っていった。
本当に良い男だ。笑
…ふぅ。
ため息をつき、窓の外を見れば
さすらいのポストマン(仮)の姿は既になくて
びゅう と
風が吹き抜けていった。
「はい、今日の分」
「ありがとう」
休憩を終え、メールチェックをしていると、届いたばかりのハガキを手渡された。
もちろん、常連のハガキ職人からのものだ。
相変わらずの綺麗な字。
…機械的なフォントじゃない、手書きされたハガキに、心がほっこりする。
文字って、人柄を映すって言うじゃない?
この人は間違いなく、良い人だよ。笑
ハガキのすみっこを見れば、『ご褒美のいくらおにぎり食べました!』と先日のネタの続報まで書いてくれている。
ふふ。
ふふふ。
何かさ?
ゆったりとしたキャッチボールっていうか
タイムラグのあるやりとりに
文通みたいだな…なんて思いながら
ハガキに書かれた
"いくらおにぎり"の文字を指でなぞると
ふ、と…コンビニでいくらおにぎりを買っていた
あの人の姿が頭に浮かんだ。
いや、違うでしょ。
そんな訳ないのに…
このSATOさんが、さすらいのポストマン(仮)だったら良いのになぁ なんて
ありえない想像をして 苦笑いした。
つづく
miu