つづきです
『はい、それじゃ…次のコーナーね。
ちょっと自慢したい自分の秘密♪
まずはラジオネーム"SATO"さん。
《ちょっとだけ自慢していいですか。
実は首から白くて長い毛が生えてます。かなり成長して、今は5cmくらいになりました。
…うん。自慢なのね?笑
あ、でもこういうのなんて言うんだっけ。
(福毛とか?)
そうそう!縁起がいいんだよね。
でもさ、抜けちゃった時すっごい凹まない?
この世の終わりかってくらい。
(でも、自然に抜けると願いが叶うらしいよ?)
へーそうなんだ。
じゃあ、SATOさんも何か願掛けしてみてね。
ぜひ、続報をお待ちしてます。
あ、オレの自慢していい?
(いつもだけど、唐突だな笑)
オレね、ほくろがあるのよ。アゴのとこ。
知ってる?ほくろって取れるんだね。
シャワー浴びてたら、なんか髪の毛がくっついてるなって思って。全然取れないなーって、ずっとこう…やってたら、ここにあったほくろが取れちゃったの。あれ?取れちゃった!って思ってたら、そのままサーっと流れて行っちゃった。
(…それ自慢なんだ?笑)
まっさん分かってないなぁ。ここからが自慢なのよ。
でね?そのほくろがまた出てきたのよ、普通に。
再生したの。すごくない?
(それはすごいかも笑)
ですので、ほくろが取れてしまって悲しんでいるアナタ!
復活するかもしれないから気落ちしないように。
(そんなピンポイントなメッセージあるのか笑)
それじゃあ、次のメール……』
仕事が一段落し
いつものように、自販機の前に立つ。
ポケットに手を突っ込むと、横から見慣れた手が伸びてきた。
「…どうぞ?」
「え、良いの?奢り?」
と、言う前にボタンを押していたから、まっさんは腹を抱えて笑っていた。
「今日も来てるね」
「……ハガキのこと?」
「いや?」
視線を落とした先には、ワンコを連れたさすらいのポストマン(仮)の姿が。
本当、この人って鋭いというか…
小さなことにも気づくんだよな。
聞こえないフリをして、コーヒーを口に運ぶ。
「時間も場所も分かってるんだから、あそこに行ってくればいいのに」と、まっさんは真っ赤なポストを指差した。
つづく
miu