つづきです
んっ… て
小さく身じろぎしたニノは、そのままオレの腕の中にすっぽりと収まっている。
ごめん。ちょっとだけ良い?
そうボソッと呟いて
抱きしめていた腕に力を入れた。
オレがニノを好きだってことは、ちゃんと伝わってるよね。そして、こうしていても逃げないってことは、多分…ニノもオレのこと好きだと思う。
急がないって言ったくせにさ。
どんどん欲張りになっていく。止められないんだよ。
ねぇ、恋人って…どうしたらなれるんだっけ。
お互い好きってだけじゃ、まだ恋人とは言えないよね。
過去の…
あまり多くない恋愛遍歴を遡ってみたけれど、告白された記憶ばかりで、自分から何かしたことってなくてさ。正直よく分からないんだよ。友だちになるのは簡単なのにね。
「あの…まぁくん、どうしたの?」
黙ったままのオレを
心配そうな顔のニノが覗き込む。
「あ、もしかして…そんなにビール飲みたかったの?!」
でもやっぱりダメよ。今日は我慢してねって、オレのシャツの裾をキュッて握るから…
こんなのもう無理。限界です。
「違うよ。どうしたらニノと恋人になれるのかなって…ずっとそう考えてたところ」
「…え、と」
「オレと付き合ってください…って言ったら、恋人になれるかな?」
もうこれしか思い浮かばなかった。
そう、ど直球。
でも、ニノは俯いてしまって…
もしかして、嫌だったのかな。ニノもオレの事を好きだと思ったのは勘違い?やらかした?
急に不安でいっぱいになって…ふっと腕の力を緩めた。
「もう付き合ってるって思ってたのはオレだけ?」
「へ?」
「だって、キス…したじゃん」
潤んだ薄茶色の瞳には、オレが写っている。
オレだけが。
ほんとに?オレたち付き合ってるが正解?
だって、オレはニノに好きだよって言ったけど、ニノからは言われてなくて。
そんなオレの言葉に、ニノは 言ったもん って唇を尖らせて反論する。
え、いつ?
記憶を辿っても、全然思い出せない。
だって、そんな嬉しい言葉を聞き逃す訳ないよ。
そんなオレの様子を見て、ニノはクスクスクス。まぁくん寝てたけどねって。なにそれ。ずるい。
「そんなのノーカウントだよ。もう一回言って?」
「/// いや、急に言われても、心の準備が」
耳まで真っ赤にして、しどろもどろ。
あぁ、ニノって分かりやすい。言葉にしなくても好きって言ってんじゃん。
くふふ、もう良いよ。
聞きたかった答えはもらったから。
大好きな恋人を抱きしめて、そっと…唇を重ねた。
つづく
miu