つづきです










床に落ちたハガキを拾い上げる。

ニノはまだ、この人のこと…


うわ、見れば見るほどカッコいい。軽くウェーブのかかった黒い髪と、大きな力強い瞳。

くぅ。

オレが勝てるのって何だろう。声がでかいとことか?いや、そんなので勝ってどうするんだよ。


ぶつぶつ言っているオレの顔をニノが覗き込んだ。



「…相葉さんは、相葉さんで良いのよ?」


「へ?オレ何か言ってた?」


「///// 別に」



そうだよね。急がないって決めたし。

何より…今ニノのとなりにいるのは、間違いなくオレなんだ。

ちょっとずつ好きになってもらえば良い!

って、どうやったら良いか全然分かんないけど!笑


あ…そうだ。



「ねぇ、またご飯作っていい?」


「相葉さん、作ってくれるの?」


「うん。ニノの好きな食べ物教えて!」



とりあえず、食べ物で釣る?

ちょっとズルい気もするけど…そこは勘弁してもらおう。

えっと、あとは…


好き好きオーラを出してみる。


ニノの顔をジっと見た。

無造作な髪。ナチュラルな眉毛。水分の多い瞳は茶色くて大きい。通った鼻筋。少し薄い上唇とぽってりした下唇のバランスが絶妙に可愛い。

っていうか、全てが可愛い。肌なんてもうさ、透き通るように白くて。

え、待って。

オレが今まで会った中で、ダントツ可愛いんですけど。


そうしたら、ニノが突然…プイッと後ろを向いてしまった。

え、怒った?

そおっと回り込んで見れば、頬と…耳まで真っ赤になっている。

アナタばかじゃないの、って。

もしかして、オレ声に出してた?

うわ、マジか。

…でも、本当のことだから。


そう言うと、ニノはもう一回 ばかじゃないって。


ニノの ばかじゃない、は照れ隠しなんだって分かってるから、もう嬉しくて。

調子に乗って、唐揚げをひとつ箸で摘んで、あーんって口元に持って行ったら、やめろや って、まぁまぁ強めの猫パンチが飛んできた。



それからは大人しくご飯を食べて

明日の仕事に差し支えない程度に、楽しくお酒も飲んで。



「ごちそうさま。美味しかった」


「待って、送ってく」


「は?どこに?」


「ニノの部屋まで」


「お断りします」



ばっさり切られたけど、オレは負けない。

じゃあ、コレ。

そう言って、残った料理をタッパーに入れて渡したら、母ちゃんかよってツッコミが。


そう言いながら、素直に手を出してくれるから


可愛いらしい手のひらに、タッパーを乗せた。







つづく




miu