つづきです








兄さんにとって、大切な人。

そして、相葉さんにとっても…


そんな相手と巡り合えた二人を、素直に羨ましいと思えた。

…悩み、苦しんだことを決して無駄だとは思わない。オレにとって、必要な時間だったんだ。


自分と

兄さんと向き合って

やっと…
余計なものを脱ぎ捨て、真っ白になれた気がする。


オレはどうしたい?




……会いたい。

会いたい、よ。



「…兄さん、相葉さん。ありがとう。オレ…帰るわ」

「は? え、ちょ…かず?!」


またね、と2人に微笑みを残し、小さなカバンを肩にかけた。


「あ!そうだ。一応、念のため…」


相葉さんに背を向け、兄さんの股間をギュッと揉んだ。
ひゃっ!と仰け反る反応が可愛い。

………うん。
オレのちんこは疼かない。笑


「ふふ、ごめんね?ちょっと確認。また…遊びに来るよ」

「確認って…/////// お前、なんの確認だよ!」


ひらひらと手を振り、アパートを出たオレを、バタバタと騒がしい足音が追いかけてくる。振り返ると、兄さんが紙袋を抱え、走って来た。


重い足取りで来た道を…

帰りは全く違う気持ちで辿る。


「…本当に帰るのか?泊まっていけば良いのに」

「ん、ありがとう。でも、オレも行きたいところがあるんだよね」


なんだよ、と残念そうに肩を落とす。
隠すことのない落胆。
くるくると変わる表情が、なんだか嬉しかった。


「じゃあ、駅まで送るよ」

「うん」


傾き始めた太陽に照らされ、歩道に延びた影が、小さな子どものように2人の足下で戯れていた。




つづく




miu