BL含むお話です。

苦手な方は、お気をつけて…









洗い出す作業の中で、同じような小さな会社が見つかった。

どの会社も、表向きは 健全な一般企業。
特に 疑わしい点はない。
クリーンそのものだ。

だが、役員の中に同じ名前がある。


後藤  一郎


…コイツから先生に、金の流れが存在しているのは間違いないだろう。
ただ、今は調べてもそれ以上の事は分からなかった。

もし、仮面の男がコイツなら…?

だが、この程度の金。

悪いが、先生にとっては上得意と言うほどではない。金を持った支持者は山ほどいる。
その中でも、オレを接待役に使う相手は 超が付く一流ばかりだ。

だからこそ、今まであんな…

…薬を使うような 
低俗な相手は居なかったのだが。



まぁ良い。
これで、準備は整った。

あとは、アイツが…動き出すのを待つばかりだった。





仮面の男と会う日。

壁に掛けられた ボード
二宮  の 欄に 予定を書き込む。

挨拶まわり→直帰  

と記入し、事務所を出た。


今回は、オレがホテルを指定した。

…相手に文句は言わせない。
こちらが優位に立っている事を示すためだ。

前回のような、一流ホテルのスィートではないが、そこそこのホテル。
どうせ金は相手には払わせるんだから、別に高い部屋でも良かったのだが、カメラを仕掛けるなら、あまり広くない方が良い。

待ち構えた相手は、約束より15分ほど遅れてやって来た。

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「どうぞ」

「会いたかったよ」

「今日は、仮面は無しで。良いですね?」


…あぁ、会場で見た覚えがある。

男の額には、傷痕があった。


仮面は、この 目立つ傷痕を隠すため
それと…


「君のこの躰が…忘れられないんだ」


合わせない目。小さな声。

…こっちのアナタが本来の姿でしょ。

あの仮面は 臆病な自分自身を偽り、理想の自分に置き換える為のアイテムだ。

抑圧されたストレスのはけ口?
それとも、単なる性癖?

横柄で尊大なキャラクターを装い
自分優位なプレイを愉しみたかった。

薬も拘束具も…
自信の無さの 表れだ。違う?


「…ふふ、シャワーどうぞ?」


悪いね?
ここからは、オレが主導権を取らせてもらうよ。


そして…



男は、バスルームの扉の向こうに消えた。



つづく





miu