大宮さんのお話…
だけど、智くん不在です。笑
軽くBL含みますので、ご注意を。
翌日、事務所に顔を出した先生に 耳打ちする。
「あの、先生。昨日の件で ご報告が」
ピクリ と眉をあげた先生。
使っていない会議室に入り、ドア閉めた。
「昨日の方、少々…乱暴が過ぎます。それに薬物をお使いに。
申し訳ありませんが、ワタシ…
今後、あの方はお相手は致しかねます」
ワイシャツの袖を捲り
拘束具で擦れた、手首の痕を見せた。
白い肌に残る赤い痕は、痛々しいというより、エロチックだな と
笑いそうになるのを堪えていた。
「そうか。私にはよく分からない話だが、その件は田中に伝えておこう」
「…よろしくお願いします」
クソっ…狸ジジイが!!
中々、尻尾を出さない周到さに嫌気がさす。
もう一度頭を下げ、先に会議室を出た。
それから暫くは、普通の日々が続いていた。
…裏の仕事も無い。
事務作業や、地方の講演会に同行したりと
忙しく 仕事に追われる毎日だった。
そんな中、事務所の電話が 鳴った。
「二宮さん、お電話です」
「ありがとう」
左手で受話器をとり、ペンを右手に持つ。
「お待たせ致しました。二宮でございます」
「……………………」
「あの、どちら様ですか?」
メモをとる手が、止まった。
…忘れてないよ? アンタの声。
あの…仮面の下のイヤらしい瞳が、受話器を通して 全身に纏わりつく。
先生を通じて、正式にあの客を拒めば
仕事ではなく 個人的に連絡をしてくると践んでいた。
…読み通りだ。
予想より遅かったぐらいだが、まぁ 仕方ないだろう。
「では、来週でいかがでしょう?」
…そっと受話器を置く。
僅かに…
風が動き出すのを 感じていた。
つづく
miu
