大宮さんで進めます。
(まだ 大宮感 ZE〜RO〜)
明るいお話ではありません。
お名前・イメージはお借りしてますが、読み物として、割り切って読んでくださると嬉しいです。
無理だと思う方はお帰り下さいね。
母を納めた 木の箱が
鈍い音を立て…
銀色の扉の向こうに消えた。
扉の前に置かれた 黒く縁取られた写真。
穏やかに笑っている母とは裏腹に
明らかに…困惑した表情を浮かべている
今日初めて会ったばかりの 遠い親戚。
…突然 巻き込まれて、迷惑だよね。
あなたたちの世話になるつもりなんて、オレ自身これっぽっちも無い。
だけど、どうしても必要なんだ。
あなたたちの戸籍に入れてよ。
その 二宮という…新しい姓が 欲しい。
そのためなら、いくらでも良い子を演じてやる。
オレは 肩を落とし、涙を浮かべる。
庇護欲を誘うような、幼い顔で。
オレは、ポケットの中の手紙を握り締め
決して…忘れる事のない名を
胸の内で 繰り返した。
いつか、お前から 全てを奪ってやる
全て失った オレに残ったものは
その、復讐心だけだった。
「大臣」
きらびやかな フラッシュに彩られ、ゆったりと手を振る不遜な男。
カメラに目を向けると、満足そうに笑顔を見せていた。
国会議員に初当選してから… 約 20年。
政治家として 順当にキャリアを積み重ね、今では 日本の政治・経済界に大きな影響力を持つ。
大野 義和
…今の オレの雇い主でもあった。
国会議員の秘書というのは、一人ではない。
公務員である公設秘書と…
直接雇われている私設秘書。
スケジュール管理や、国会での仕事など
主だった仕事は 3人の公設秘書が担っている。
先生の場合、その他に 私設秘書が5人おり、地元後援会の活動や、選挙対策を中心に日々動いている。
その中でオレは末席に据えられ、雑務的な事を任されていた。
月末、必ずオレは先生の自宅を訪れる。
事務所でなく、自宅だ。
…今日は その日だった。
先程見たニュース番組は、ライブ映像。
と、言うことは…今日は戻らないと思った方が良いかもしれない。
「ったく…予定が変わったなら、連絡くらいしろよ。バーカ」
パサッ…
持参した 診断結果を、テーブルの上に放り投げた。
月に一度、必ず医師の診断を受けるというのも面倒だと思うが、契約だ。商品価値を上げる為にも、検査は必要なのだろう。
オレは自分の行為の結果、この身体が病気に感染しようが構わないが…相手はそうもいかないのが事実だ。
先生と繋がりを持つのは、それなりの人物ばかり。提供する以上は、完璧なモノでなければならない、ということだろう。
…ネクタイを緩め、革張りのソファに身体を投げ出す。
取り出した 煙草に火をつけ、深く吸い込んだ。
「次はどんなやつかな…」
吐き出した 白い煙と共に
ボソッと呟いた。
つづく
まだ、3話分しか書いてないのにUPする勇気。笑
最後まで書けるかな?←
miu