翔潤のお話です。
軽くBL含みますので、ご注意下さい。











バタン


閉じたドアがの音が、虚しく背中に響く。

外に出ると
パラパラと落ちる雨粒が、水たまりに小さな波紋を作っていた。


落ちた一つの点が…外側へと大きく広がっていく。

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…俺の考え過ぎなんだろうか。

潤の言う通り 相手は大人で
くだらない嫉妬心に、俺が振り回されているだけ。

それなら良いんだ。
だけど…


潤の部屋の上の階へと視線を向ける。

明かりのついている その場所に
ただ 立ち尽くしていた。



どのくらいそうしていたのだろうか。

水分を含んで  重みを増した髪に
頭が冷えて、ちょうど良かった  と


「…ふ、あははっ!」


喉の奥に張り付いていた
自分の情けなさを吐き出して

重い足を踏み出した。








家族に気づかれないように、そっと玄関のドアを開ける。
身体から滴る雫が、点々と後をついてきた。

風呂場でバスタオルを一枚手にすると、濡れた服を洗濯機に投げ込む。

そこから逃げるように
部屋へと走った俺は

重たい体をベッドに沈めた。


…頭がガンガンする。


なんとか 着替え、目を閉じると

深い闇の中へ 吸い込まれるように
意識が溶けていった。




翌日は、酷い寒気で眼が覚めた。 

この感じは知っている。
38度ちょっと、ってところかな?
まだ上がるかもしれない。

………くそっ!

怠い身体を起こすと、考えの纏まらない頭を抱え込んだ。
今日の講義は、休んでも良いだろう。
バイトのシフトは…どうだった?
自分が無理をするのは勝手だが、フラフラした店員に接客されるのは迷惑かもしれない。
それは 店長に相談してみよう。

スマホに手を伸ばすと、友人からのメッセージが数件表示されていた。

……潤からのものは無い。


スルッと 
手から離れたスマホが床に落ち

画面に 一筋のヒビが走った。






つづく




miu