にのあいのお話です。
軽くBL含みますので、ご注意を。









まーくんと店の二階で一緒に暮らし始めて、二週間ほどが経った。

閉店し、暖簾は 早々と片付けたのだが、下ではまだ 親父とまーくんが 作業している。

…これも いつもの事。

雅紀には教えることが山ほどある…と 笑う親父を見るのが、ワタシは 何より嬉しかった。


そっと…
ふたりの邪魔をしないように 二階に戻ると、風呂を掃除し、湯を入れ…冷蔵庫にビールが 入っていることを確認する。

太陽みたいな笑顔で 「お疲れー」って 言う キミを、ちょこんと座って待っていた。



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時計を チラッと見る。
…この時間だと、まだ もう少し終わらないだろう。

手持ち無沙汰で拾い上げたゲーム機からは、すぐにバトル音が鳴り始めたけど、どうにも集中できなかった。
前はあんなに夢中になっていた機械音なのに、今では 階段を上がってくる まーくんの足音を探してしまう。

ゲーム機の電源を切り
畳の上にゴロッと横になった。

ワタシを見下ろす 天井の木目が
クスクスと笑っているよう。

なんだか気恥ずかしくて、目を閉じた。



ピピピッ!ピピピッ!

セットしたアラームが 音を立てる。


…ソロソロお湯が溜まる頃。

古い給湯器は、自動で止まらない。

ワタシは慌てて風呂場のドアを開けた。

…先に悪いかな  とも思うけど、そのまま服を脱いで洗濯機に放り込むと、風呂に入る。
二人で遠慮していてもしょうがない。
閉店後、ここに戻ってから眠りにつくまでの わずかな時間。…そこは、合理的に割り切ることにしていた。


手早く洗い、熱い湯に身体を沈める。

立ち上る湯気の向こうに
あの時…

引っ越しの日を思い出していた。


部屋の中に少しずつ増えていく荷物…
それが、これから少しずつ積み重ねていく ワタシたちの未来のようで、嬉しかったんだ。


…でも、これってさ、どうなのよ /////


風呂場に漂う 彼と同じシャンプーの匂いに、何だか抱きしめられているような気がして…
ブンブンと 頭を振ると、ジワリ と 額から汗が吹き出した。


やばい、のぼせそう…

ヨロヨロと 風呂から上がり
タオルで水滴を拭う。


「あれ?着替え…」

どうやら、慌てていて
持ってくるのを忘れたらしい。

ガチャッとドアを開けると


まるで…

三日間寝ていない ヒトコブラクダのような顔をした まーくんが  そこにいた。



つづく


miu