大宮さんの BL小説です。
苦手な方は ご遠慮下さい。
オレは ポツリ、ポツリ…と
カズヒコの事を 話し始めた。
双子故 なのか
それとも やっぱり…
オレ達が 特殊なんだろうか。
相手が強く受けた 感覚や、感情などを
共有してしまう 事。
オレの場合、特に ”アノ時” の 快 楽 が一番 伝わりやすい 事。
「…双子って そんな事があるのか…
…逆に、向こうに お前の感覚が行くこともあるのか?」
「ん…昔はあったけど、今は殆ど無いって…カズヒコは言ってた。
だから、向こうから オレへの一方通行なんだと思う」
「本人に言ったのか?
その…セッ*ス の感覚を貰っちゃうから、昼間はやめてくれ とか」
「…言ってない。
今までは そんな酷くなかったし。
ってかさ、初めてなんだよ。こんな…自分が 自分で無くなるようなのは…」
オレは ギュッと
自分自身を 抱きしめた。
「………。
そっか…怖かったよな?」
そう言って ポンポンと頭を撫で…
背中をさすってくれた。
その 温かい手のひらの感触に
オレは…凄く 安心した。
二人だけの空間に
静寂が 流れる。
色んなことが あり過ぎて
疲れ果てていた オレの意識は
…何時しか 微睡みに沈んでいった。
ユラユラと…
水の中を漂っているような
そんな 感覚が
とても 心地良くて。
幸せな… これは 夢…?
オレは夢の中で
「ずっと…ここにいたいな 」
と呟く。
「………」
?…なに?
頭の奥の…何処か 遠くで
誰かの声が 聞こえた気がした。
気付くと、オレは布団に寝かされ
窓の外は真っ暗になっていた。
スマホを手に取ると
夜の11時を過ぎている。
その 画面には…
”カズヒコ” の 文字と
夥しい数の 着信とLINEが 表示されていた。
…帰らなきゃ。
部屋を出て すぐの階段を下りると
喫茶店の カウンター脇に続いていた。
改めて店内を見渡す。
置かれている調度品は、形こそ 少し古臭いけれど、どれも 手入が行き届いていて とても綺麗だった。
…どこか 懐かしいような…?
カタン、と 音のした方へ
視線を向ける。
明日の準備をしていたのか
大野さんは 冷蔵庫の前にいて…
オレに気付き、顔を上げた。
「…帰るのか?」
「…うん…」
「家まで、送ろうか?」
「…いや…大丈夫 」
「……そっか。
なんかあったら、直ぐに電話しろよ?」
「オヤジかよ…笑」
心配そうに見つめる 大野さんに見送られて、店を出た。
「なぁ 、明日 9時からだから!
暇なんだろ? …手伝いに来いよ」
オレは 振り向かず
答える代わりに…
左手を ヒラヒラと 振った。
つづく
2015.8.9 miu
