櫻葉さんの続きです。
BL含みますので、ご注意下さい。
火照った躰を持て余しながら
ホテルへと帰路を急ぐ。
…よく考えてみてよ。
一回 シたくらいで、満足する?
全然ダメじゃん!
…まだ 若いんだもん。
とは言え、寒空の下…夜の公園で二回戦目をする気にはなれなくて。
まだまだ 物足りなさそうな 翔ちゃんのアレを、窮屈なパン ツに 無理矢理 納める。
オレたちは 少しだけ前かがみになり、苦笑いしながら公園を後にした。
「…翔ちゃん、此処って…?」
駅前からは少し離れた
お世辞にもあまり綺麗…とは言えない 小さなホテルの前に立つ。
此処は、オレたちが 初めてこの街にやって来た時、訪れたホテルだった。
昔、翔ちゃんと二人…
全てを捨てて、住んでいた街を後にした。
囚われていた 暗い影から 逃げるように彷徨って…。
何時しか、この街に辿り着いた。
これからもずっと…安息などない。
それでも 翔ちゃんと二人ならそれで良い。
世界中に オレたちだけ。
…他に何も要らない。
そんな、淋しい思い違いをしていたあの頃。
でも…この街で触れた 優しさに、此処で生きることを決意したあの日を、今でも鮮明に 思い出す。
「…ゴメンな? 本当は、駅前のもっと良いホテルにしようかと思ったんだけど。
やっぱり 此処も…俺たちにとっては特別な場所かな?って…」
「うん…嬉しい…。
どんな高級ホテルよりも、此処が良いよ」
そっと…
翔ちゃんの手を握る。
大好きだよ?
この人と出逢って。
翔ちゃんがオレを選んでくれた奇跡。
…本当に 感謝しても し足りないよ。
チュッ
オレは、人目も気にせず
翔ちゃんの唇に 口付けた。
シャワーを終え
タオルで頭を拭きながら、湿った躰で 翔ちゃんと二人、ベッドに腰掛ける。
何だか 色々な想いが交錯して…涙が止まらない。
「…雅紀? どうした?」
「うん…オレ、こんなに幸せで良いのかな。
ニノと大野さんは…明日離ればなれになっちゃうのに」
翔ちゃんは ギュッと抱きしめてくれて、溢れる涙をキスで拭った。
「あの選択は…彼等の 真意だよ。
だから、大丈夫。
それでも 迷ったり、不安に飲み込まれそうになる事があったのなら。
その時は…俺達が 守ってやろう?」
「ん…そうだね」
「…ね、雅紀は 幸せ?」
「…うん…」
「良かった。俺もだよ…」
何より 翔ちゃんが大事。
それは今でもブレずに そのままだけど。
でもね、大切な人・守りたい物…
ここで、沢山できたから。
オレ…本当に幸せだよ。
つづく
2015.10.10 miu