連投スイマセンm(_ _)m
過去に読んだ方は スルーでね。







今日も 仕事が終わり

鉛のように重くなった体を
薄っぺらい布団へと 沈め


ワタシは…

今日出会ったばかりの

透明な空気を纏った  
ワタシの心に 刺さったままの
抜けない棘と…

今まで 好んで使う事の無かった

”運命” という言葉を 思い出していた。

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翌日   再び 同じ現場での作業。

ワタシの目は
大野さん を 探していた。


この仕事は  一日だけ、というのも
決して 少なくなくて。

今日も 大野さんが いるとは
限らない。


自分でも…
良く分からないのだけれど

だけど、このまま会えずに
終わりたくない と

強く  そう  思っていた。


「おはようございます…」


耳から入り込み 

ワタシの中心まで 届いた
透きとおる音色に 心臓が 跳ね上がった。


声の方向へと 振り向くと
…大野さんが、微笑んでいた。


「もしかして…おいらを探してた?」


言い当てられて、戸惑う。


「…そんなワケ、ないじゃない」

「そっか、そうだよな」


うつむき、口から出たのは こんな言葉。

…なんで 素直に言えないのだろう。


(そうだよ、アナタを探してたんだ)


ワタシは 心の中で
そう呟いた。



大野さんは ここでの仕事こそ
昨日が初めて だったけれど。

道路工事の仕事自体は
手慣れていて

身長や、体つきは…
ワタシと  さほど変わらないのに
驚くほど、筋力も 体力も あった。


ワタシは、といえば

何度となく 同じ作業をしているにも
かかわらず

やっぱり 慣れなくて。


…前日、大野さんの事を考えていて
 一睡もできなかった 事もあり。


仕事が終わる頃には  疲れ果て

足元が おぼつかない 状態になっていた。


「にの、大丈夫か?」


この現場では
ワタシの方が先輩だったけれど…

大野さんの方が、年上だったのと
仕事 そのもの の経験値から
自然と話し方は こんな感じになっていた。



「あ…大丈夫です。お疲れ様でした…」

「家まで 送ってくよ。
そんなんじゃ、心配だから」


驚いて 大野さんを見上げる。


「いや……。
……………いいの?」


「んふふ…やっと 素直になった」



なんだか

ワタシの心を 
見透かされているような

そんな気が、した。




帰り道
大野さんの肩を借りながら歩く。


…話したいことは たくさん あるのに

ワタシの 口 からは
紡ぐ言葉が 見つからない。


それでも  ふたりの間に 流れる 沈黙は

とても  心地よいものだった。




つづく


2015.3.11  miu