お隣さん  大宮 のお話になります。
鈍色の空~ に 続く話になりますので、お引越しさせちゃいますね。

前に読んでる方は スルーして下さい。








”運命”  って言葉…

ワタシ 好きじゃないんですよ。


その言葉を 使ってしまうと  

自らの



意思が  

努力が  



今まで 積み上げてきた  

全てが。


なんの意味も 持たなくなってしまう

…そんな気がして。




勤めていた会社が倒産し

ワタシは…新しい仕事が 
すぐにみつかるわけでもなく

とりあえず バイトをしながら
次の仕事を探している状態で。


見上げれば

どんよりとした…この空のように
胸の中には 薄暗い モヤがかかっていた。



ワタシは、この日も

いまだ慣れない
道路工事の仕事に来ていた。


「二宮! 新入りだから、教えてやってくれ」


そう、声をかけられ  顔を上げた。

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そこには  

ワタシとあまり変わらない 身体つきの…
一人の男が 立っていた。


「大野です。よろしくお願いします」


そういうと  ぺこりと頭を下げた。



自分に 何が起きているんだろう。



眼が…離れない


離せ、ない


ワタシの視線に戸惑ったように  
大野 と名乗った 彼が言う。


「…あの、何か?」

「いえ。…なんでも…」


慌てて…下を向いた。







話は少し、遡るけれど…


あれから

お隣とは…
仲良くなってしまっていて。


あまり食べ物に執着しないワタシを

相葉さんが…気に掛けてくれて
ご飯に誘ってくれる。


あらためて  見てみると  この二人…


一緒に 居ることが とても自然で

でも、明らかに”友達”っていうのとは 
 違う空気感が漂っている。

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以前の  ワタシは
男女の恋愛以外…あり得ないと
思っていた。

…大家の ジイさん並みに
ワタシも 頭が 固かった ですよね。


でも  人が 人に 惹かれるのに
理由なんて  なくて。

男だとか  女だとか
…性別 云々 よりも 大切な部分。


この人達は  それに 気付かせてくれた。


今では  こういう…関係も
アリなのかもしれない、と

素直に そう思える自分がいる。



ふ、と  気になって
相葉さんに聞いてみた。



「最初から…男が好き、だったの?」

「ううん? 女の子とも 付き合ったよ。
でも、翔ちゃんに…出逢ったから、ね」


振り返って
穏やかな顔を翔さんに向ける。


「…翔さんは、男の方が好き、だった?」

「ん…?   男が好きでは…無かったな。
雅紀が出逢った時…俺、彼女じゃないけど…そういう相手はいたしね。

けどさ。
…出逢っちゃったから、な」


この二人が  出逢った事は
やっぱり  運命  だったんだろうか。


そして……


ワタシにも  こんな相手が

何処かにいるんだろうか…



つづく
                       

2015.3.7  miu