おサルさんの続きです。
「いや、どうすんのよ!
アナタ…休みは 明日まででしょ?
…あのさ、体は? 別にあるの?」
「うん…体は、おいらの部屋にいる。意識不明?みたいな…」
「意識は、こっちのおサルに入ってるからでしょうよ?
そっか、体はちゃんとあるんだ…。
とりあえず 大野さんのトコ、行きますよ?」
車に乗り込み
助手席に 猿を乗せた。
エンジンをかけ
走り出そうとした、その時
「にの~!
シートベルトしてくれよ~」
「……。
ぬいぐるみにシートベルトの義務ないから」
「だって、事故ったら危ないだろ?!」
…うるさいですね。
助手席の猿を ヒョイっと持ち上げ
胸元に押し込んだ。
「コレなら良いでしょ?」
「/// うん…」
都心の道路は 正月ということもあり、かなり空いていて
10分ほどで大野さんのマンションに到着した。
持っている合鍵で 部屋へと入ると
そこには…
ベッドに横になっている
大野さんの姿が あった。
思わず 息を確かめる。
スヤスヤと、眠っているような
穏やかな呼吸をしていて
とりあえず 安心した。
「さて。
どうやったら 戻んのかな…」
胸に押し込んだ 猿を取り出し、
大野さんの腹の上に置いた。
「…わっかんねぇ。
叩いても、蹴っても ダメだった」
ふむ…
要は、サルに入ってる 大野さんを
コッチに戻せば良いって事よね?
体の方に…引き寄せれば。
試してみる 価値は、あるか。
眠ったように 横たわる
大野さんのスウェットへと
手を掛けた。
「ちょっ…にの、何すんだよ!」
本人の腹の上で
にわかに サルが騒ぎだす。
「…ん?
大野さんが 躰に…戻りたくなるように、よ…」
ギシっと…ベッドに 乗り上げ
取り出した
柔らかい 部分を 握る。
意識が無いから…
ダメかな?
先から…クルリ、と円を描き
裏側をなぞって 擦り上げる。
しばらく続けていると
ムクムクと…反応してきた。
くち に含むと、更に 強度は増して…
「フフッ
意識なくてもイケんじゃない」
猿に見られながら
ゆっくりと 沈んだ。
つづく
2015.1.11 miu
