つづき





大きく息を吐いて
絞り出した 言葉。


「初めから…怖かったんだ。
この目に吸い込まれそうで…」


「…オレは この唇に吸い込まれそうだったよ?」


頬に手を添えて
今度は 触れるだけのキスをする。


「 ん…」

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離れると

大野さんの唇は
寂しそうに濡れていた。


「ウチに、来る?」

「……」

「それとも…もう、帰る?」

「や、それは…」



顔を上げたアナタと
視線が交差する。


縋るように見つめる瞳を  

…絡め取った。


「今から…ゆっくり お互いを知っていけば 良いんじゃない?」

「……うん…」


瞳を伏せ、朱に染まった頬。

はにかんだ 笑顔は
オレの心を捉えて…離さない。



…もしかして
落ちたのは  オレの方なんだろうか。


この人が  欲しい。


この…唇から

オレを欲しい、と 言わせたい。


額に口付け
瞼、鼻先へと下りて行く。


唇に辿り着いた時には

もう…迎え入れるように
薄く 開いていた。

求めに応じるままに
深まる キスが…


二人の始まりを告げていた。


終わり


2015.11.28  miu