つづきです。





目覚めた時には既に…大野さんの姿は リビングには なく

辺りを 見回すと

ベランダに 出したデッキチェアに座り、ビールを飲む…後ろ姿。

自分も冷蔵庫からビールを取り出し…ベランダに出る。


「…出来たんだ。 ふーん、まぁ  良いんじゃないの?」


大野さんの 手元にある缶に
自分の缶を  コツン、とあてた。


色とりどりの折り紙で作られた飾りと 下げられた数枚の短冊が

月明かりに 照らされ、揺れていた。

{070BFD79-780F-4A56-8282-B6BEED50A561:01}

「何を お願いしたんです?」

「…内緒」

「それは、ワタシが知らなくて大丈夫ってコトね?」

「ん~~?ふふっ!どうかな~」

「…見ても良い?」

「もちろん!」


短冊に書かれた 願い事は…


”健康第一!”

”美味いビールが飲めますように”

”もうちょっと 休みが欲しい!”

”マグロが釣りたい!”


てっきり…ワタシ宛の  エ口い 願い事が書いてあると思っていたから。

普通の願い事に…思わず 二度見してしまった。



ふ、と 見ると
星に一番近いところ

そこで…短冊がもう一枚  風に揺れていた。


ニノと ふたり、穏やかな時間が 
いつまでも 続きますように…


「大野さん…」


…ワタシと アナタ…

同じ 想いを  共有してたんだ…

 
熱いモノが込み上げて…迂闊にも 涙が零れた。


「え?どうした?何で 泣いてる?」

狼狽え、慌てる頬に 手を添えて
…キスをした。


そして


泣きながら、笑った。


「この願い事は…叶えようよ。
オレら、でさ?

まぁ、せっかくだから?…神様にも 手伝ってもらって…」

「…んふふふ…  そうだよな。
おいらと ニノと、ふたりで 」


鼻先が 触れ合い 

グッと…引き寄せられ
再び 唇が 重なる。



月明かりの下
星々に見守られながら

今夜も 穏やかに…
ふたりの 時間は過ぎていった。


終わり

2015.7.7  miu