にのあいのお話です。
BL要素を含んでおりますので…
苦手な方は、ご遠慮下さい。
下がった ニノの手は そのまま…
オレの 手に 重ねられた。
「無理しないで…
ゆっくり、いきましょ?
何年 待ったと思ってるんです?」
…ニノ は
こんなに 大切に 思ってくれて。
ヤバイ…涙が 出る。
好き。
改めて そう 思ったら
自分から 求めていた。
それからは
よく 覚えていなくて。
キスが 一つ 落とされる度に…
満たされていく 心。
求めて…求められて
躰に 残る 鈍い 痛みは
…愛された 痕跡。
オレは 心地よい 疲労感に
何時しか…眠りに 落ちていった。
どのくらい 時間が経ったのか。
ふ、と 目が覚めて
隣で 眠っている
ニノ を 起こさないように
そっと…ベッドを 抜け出した。
まだ 夜の明け切らない
薄い闇の 中
冷蔵庫から
ミネラルウォーターを 取り出して
テーブルに 置く。
…見ると そこには
ホットチョコレートの 入った
ボトルが 置かれていて
少し… 冷めてしまっていたけれど
カップに移して 口に運んだ。
「結構 美味いでしょ? それ…」
「…ゴメン。起こしちゃった?
うん 美味いよ。
優しい 甘さ…何か入ってる?」
「…メープルシロップを、ね。
入れるんですって。
彼女から貰った ホットチョコレート…かなり 美味かったから。
アナタにも 飲ませてあげたくて…
作り方?教えて貰ったんですよ」
「…彼女って…あの 連絡先を交換してた?」
ってか…貰ったの?
バレンタインデーに、チョコレート…だよね。
「ねぇ あの人から、チョコレート貰って 連絡先の交換して…
…勘違いさせて 無いよね?」
「だって…レシピを送ってくれるって言うから…。
しょうがないでしょ?
勘違いって?…何を?」
ニヤニヤしながら…
オレの顔を 覗き込む。
「……その 連絡先、消してよね」
「? 何でです?」
「~~~っ何でも だよっ!!」
…ニノ は 口元を 手で隠しながら 笑っている。
一頻り 笑って…
おもむろに
スマホを 弄り出す。
「…これで いいですか?」
オレに 向けられた画面。
そこからは
彼女の名前は 消えていた。
「…好き、だから だよ…」
視線を逸らしたまま ニノ に 言う。
「はい? …今、何て?」
「…聞こえただろ?!」
「……聞こえましたけど…もう一回 聞きたい」
「…………もうっ!好…
「あ、やっぱり いいです。」
唇を 塞がれた。
そのまま…オレの 中に 僅かに残る
ホットチョコレートを
ふたりで 味わいながら
薄い闇が 明けるまで
ずっと…抱き合っていた。
終わり
2015.2.15 miu