雅紀の体温を背中に感じながら
30メートルほど先の角を曲がる。


凄く大きな屋敷…
というわけでは無いけれど

こじんまりとした 
昔ながらの日本家屋。


気持ち程度に付いている鍵を ガチャガチャと開け、ジイさんは 中へと入って行った。


「そこの部屋を 使え。今  布団を持って来るから」


…客間だろうか?
雅紀を背中にのせたまま 部屋に入った。


ジイさんに敷いてもらった布団に、雅紀を寝かせる。

まだ体に熱が こもっているのか
時折 眉を寄せ、辛そうな表情を浮かべていた。


「ほら、使え」

氷枕と タオル、うちわを寄越した。


うちわで 優しく風を送りながら
吉田のジイさんに頭を下げた。


「何から何まで…すみません。
あの、ありがとうございます」

「いや…ワシも つい、楽しくてな。
長湯をさせてしまった。
…しかし、此奴は根性があるのぅ」

「ええ。確かに…根性は 俺よりあると思います」

「ははっ!!
…ところで、お前さん達は 旅行者にも見えんが? この辺に 最近引っ越してきたのか?」

「いえ…」


それ以上 言えずに 言い淀んでいると  ジイさんは 俺をジッと見つめた。


「何か…ワケありか?」

「……ちょっと事情がありまして、 今は駅前のホテルに滞在してます。

ココは…何でかな。初めて来たのに、懐かしくて  あったかい……良い街ですね」


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この街で 呼び起こされた郷愁や…
素直に 感じたことを口にした。


「ワシは 此処に70年以上 住んでおる。自慢じゃないが、此処より良い所はないぞ?
……行く所がないなら、此処に 住んだらどうだ?」

「そう…したいですが…」

「ねぇ、翔ちゃん。この街でアパート探さない?」

雅紀は ゆっくりと体を起こした。

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「…雅紀!  大丈夫か?」

「吉田のじいちゃん、翔ちゃんも…心配かけてゴメン。もう大丈夫!」


「…ボロアパートで良ければ、空いてるぞ?」

「「  え?  」」

二人揃って ジイさんを見る。


「タダとは言わんが、家賃が払えなきゃ うちで 掃除でも洗濯でも してくれりゃあいい。  …どうだ?」

「いや…家賃は あまり高く無ければ払えます。
あの、ただ 保証人とか、そういうのが居ないんです。
その…家族も俺とコイツの二人だけで…」

「…何、そんなもんは要らんわ」

「いや、それは「じいちゃん良いの?ホント?!」


ジイさんに抱きつく雅紀。

こいつの こういうところ…叶わないな。



元々 住んでいた街からは  
大分離れた。


…そろそろ、この辺りで 落ち着いても 大丈夫かもしれない。



「あの、アパート…貸していただけるんですか?」

「ふん、同じ事を 何度も言わすな。
…入居者もあまりおらん ボロアパートだがな?  それでも良ければ 貸してやる」

「ありがとうございます!」
「じいちゃん、ありがとう!!」 




これからは この街で 
暮らしていこう。

雅紀と二人…

俺達に関わってくれる
全ての人に感謝をして。



つづく

*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*


なんとなく、次で 終わるかな?

エ口くもないこんな話を 読んでくれて…本当にありがとうございます。
ん?基準がおかしいかな?( ̄▽ ̄)

ラスト、なるべく 早く 書きたいと思います♡
(話の内容を 忘れないうちにね!笑)