妻momoです。

旅立つ少し前、食卓で食事がとれた頃、夫がいいました。

「僕、こんな状態でよく頑張ってると思うわ。」

「うん、そうだね。すごく頑張ってる。」としかいえなかった私。

腹水が増え、不快感が治まらず、それでも懸命に普段通り生活しようとしていた夫。

なかなか改善されない不快感に、「いつまで続くんだろう」との不安がだんだん大きくなっていくようでした。

門脈の通りがよくなって、肝臓の働きが戻れば回復するとの思いで、漢方を飲み、氣を当て、抗ガン剤にもチャレンジしました。体力が落ちてきてからの抗ガン剤は、夫には合いませんでした。不快感を和らげるための麻薬系の薬も適量を見つけられませんでした。氣を当ててもらうと身体が軽くなり、気分も楽になるようでした。足の浮腫がとれて、ああこんなに細いんだとびっくりもしました。

 

地元の主治医の予想を裏切り、夫は、1年半とても元気でした。

主治医は、「抗ガン剤も使わずにこんなに調子よい人を診たことがない。漢方がよほど合ってるんですね。」と、不思議だけどと言いたげな顔でした。

膵臓癌と分かってから2年半。5年後にぴんぴんしているという願いは叶わなかったけれど、夫は夫らしく生きました。

一度も使うことはできなかったけれど、春からの畑仕事用に眼鏡をあつらえ、直接渡すことは出来なかったけれど、友人へのプレゼント用にネットで小物を注文していました。まだまだいろんなことをしようと思っていたことが分かります。残してくれたものもたくさん。

畑仕事の歳時記。季節ごとの置物や掛け軸のことを書いたプリント。鞄の中は整理され、書類ケースの中には、後の手続きに必要なものがすべて入っていました。鞄の中に財布が3つ。どう使い分けていたのでしょう。几帳面だった夫に聞いてみたいです。保険請求の手続きも自分でしていました。

玄関には、夫が作った紙粘土の人形が置いたままです。作ることを楽しんでいた夫の姿が浮かびます。

 

夫が旅立って、時の流れが止まったようなこの半年。私だけで毎日食事をして眠っていることが不思議でさえあります。あの時ねんねしてばかりだった孫が、つかまり立ちをするようになっています。やはり、時は流れています。

 

「お父さん、ほんとによくがんばったね。病気が分かってからの2年半、ずっと一緒にいられたことが本当に幸せでした。」

最後の入院の時、「一人じゃないからね。ずっと一緒にいるからね。」って、何度も呼びかけたんだけど、今は夫が、「一人じゃないからね。ずっと一緒にいるよ。」って、言ってくれているような気がします。

会いたいな。一緒に暮らしたいな。今日は七夕。夢に出てきてくれるかな。

 

 

新しい治療法がどんどん研究されています。早くみんなが使えるようにと祈るばかりです。

闘病中の皆さんの明日が希望の日になりますように。

 

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