身代わり忠臣蔵
ムロツヨシ主演、河合勇人監督、『身代わり忠臣蔵』鑑賞。ネタバレ注意。 好きなんで、毎年12月14日頃に合わせ、忠臣蔵物の映画なりを観ています。 ただ、そろそろネタが尽きてきた感があるので、気になっていた本作を新規購入の上鑑賞。まあね。ムロツヨシが主演ってだけで、当然コメディー寄りになりますね。 設定としては吉良上野介には家を追い出された(顔はそっくりだが出来の悪い)弟(そのせいで、現在は乞食坊主)がいて、(その間、遊び人の赤穂藩家老大石内蔵助と出会ったりしちゃうのがポイントですけど)やがて松の廊下の事件が起こり、そのせいで、お家断絶など色々困った吉良家の家臣が、その危険を躱すため上野介の身代わりを立てることにして弟を呼び戻す。なんて話です。初めは金のために引き受ける弟。上野介にはあるはずの背中の傷、額の傷を斬り付けつけられるのも厭わないほどだ。(斬るのは清水一学だなんてのが素敵)そんなこんなで、上野介になり切ろうと姿は割とコミカルに描かれます。 しかしです。初めは嫌々やっていた身代わりですが、家臣皆に必要・期待されることによって、徐々にまともに、いや、兄よりも立派な殿様になっていく。元々人格者で賢い人なんだろうな。偽物が本物を凌駕していく面白さ。 そして、史実通り、元禄十五年師走十四日は近づいてくる。そんな頃、大石と弟は旧交を温めます。その中で、必要なら俺を上野介としてきっちり討ち取ってくれみたいなこと言います。家臣に対しても仇に対してもそして世間に対しても必要とされるなら頑張るという彼の優しさ、決意は意外にもグッときます。 そして討ち入り。こういう少し変化球な作品でも流石に討ち入りは描かないとね。もちろん大石との約束通り、弟は上野介の身代わりとして見事に討たれます。続いてはこれまたお決まりの、首を掲げての泉岳寺への行進。ここで、お決まりではないことが。吉良の家臣たちが主人の首を取り返すべく斬り込んでくる。弟の本物ぶりのせいで逆に、弟の思いが家臣には伝わらないことが悲しい。しかし、ここからがいただけない。首をボールに見立てたラグビーの試合の様相を見せる首の奪い合いの演出。ナレーションも試合の実況の様な、当然カタカナ語を交えて。コメディー色を貫きたかったのかもしれないが、残念でしかない。 この作品に於いては主人公のことをナレーションが主人公のことを途中から吉良と呼ぶことをせず,最初から最後まで弟の名で呼ぶという作りの一貫性に好意が持てました。かなりの変化球で賛否あるとは思いますが、悪くはない作品かと思います。おすすめとまでは言いませんが。 きっと来年も観ちゃうんだろうなあ。蕎麦手繰りながら。何かしらの忠臣蔵物。