ゴールデンウィークにディープワークショップを行っていただく吉田浩太監督の最新作「女の穴」を試写で見てきて、その後に監督にワークショップの中身的なことについてインタビューをしてきました。

ちなみに、新作「女の穴」は、すばらしい作品でした。

いつも通りエロなんだけど、エロにとどまらない。

人を好きになることの苦しさを味わって胸を締め付けられました。

吉田浩太監督の映画ってすごいといつも思います。

観る人に甘酸っぱくて苦しいダメージを与える。

失恋の時の傷のようなものを映画を見ていて負わされる。

切なくなる。

そういう映画ってすごいと思うんです。

スクリーンの向こうの作り事なのに、こちらにいる人間に確実に影響を与えるってすごい。

そして、そのヒントは、現場で俳優をいかに本気に持っていくか、限界を超えさせるかという吉田浩太監督の演出術にあると思うんです。

でなければ、毎作品がすべて観客に恋にまつわる切ない物理的ダメージを与えることなんてできないとおもうわけで、今回のワークショップではそのあたりの俳優追い込みをやってもらおうなんて思っています。

というわけで、吉田浩太監督にインタビューしてきました。

 ↓


松枝「4人の映画監督ワークショップは2005年からやっていますが、毎回、キャンセル待ちが出るほどの盛況です。4日間で4人の監督に出会えるということが、俳優たちにとって非常にメリットだと感じてもらえているんだろうなと思っています。しかし、自分ところのワークショップを否定するわけではないですが、4日間で4人の監督に会えるというのはメリットであるとともにデメリットでもあると思うんです。だって1監督の担当は1日だけなので、時間がないから俳優をそれほど深く見ることができない。パッと見でキャラがわかるハッキリした俳優にとってはすごいメリットが大きい。けれども、数日取っ組んで良さが出てくるような俳優にとってはデメリットばかりになる。前回、吉田浩太監督に、4人の監督ワークショップに参加してもらった時も、吉田さんが、俳優のキャラだけでなく、どこまで行けるのか可能性を見ようとするあまり、昼クラスを2時間延長して休憩時間がなくなってしまっただけでなく、夜クラスも大延長で終電がなくなるんじゃないかって所までやった」

吉田「そうでしたね(笑)。いかに限られた時間で濃密にできるかって戦いでした」

松枝「そういう意味で、僕は考えたんです。俳優をじっくり見て芝居を深めさせていくタイプの吉田監督には、長めの…4日間が長めかどうかはわかりませんが…ある程度の長さの期間でワークショップをやってもらうのが良いんじゃないかと。ところで、吉田監督は他のところでもワークショップをやられているじゃないですか。長い期間で講師をされたりしたことはあるんですか?」

吉田「あります。そのときは3カ月間やって、参加した俳優たちと作品を作りました」

松枝「ワークショップから映画を作るような場合、うちはそういうのをやっていないのですが、どうやるのかなと思うところがあって、というのは、参加者で映画を作るわけじゃないですか、たまたま良い俳優ばかりが集まればいいですけど、箸にも棒にも引っかからない俳優というのがいると思うんですよ」

吉田「ええ、まぁ、いますね」

松枝「そういう俳優たちでも撮ることができるんですか?」

吉田「問題のある俳優でも何か活かし方はあると思うんですよ。ワークショップをやっていると、やっぱり何人かすごく勘がニブイ子だったりとかはいるんですよね。まぁ、そういう子でもニブイならニブイ役とか、そういうキャラクターを作っていくことで、逆に、映画の中でいかすというか」

松枝「それは当て書きだからできるということですね」

吉田「そうです。じゃないと無理ですね」

松枝「劇団のようですね。ダメな奴なんだけど、当て書きだとそいつ光るみたいな」

吉田「まったくその通りですね(笑)以前に3日間ワークショップをやったことがあるんですよ。今回の4日間のと似てると思うんですけど。そこでは1日目に自己紹介から始めて、各々のキャラクターを見て行って、で2日目にエチュードをやってもらって。3日目には、ぼくが書いた台本で芝居をしてもらいました。そこではカメラを据えて、撮り方は椅子に座ってカットバックで撮るっていうすごくシンプルなものだったんですけどね。そこでぼくの目標とするものは、各々の役者が自分の「限界」を超えるということ。でも「限界」を超えるっていうのは、実際にカメラを構えていないとできないんですよね。今回のワークショップでもこれはやりたいと思っているんです。ぼくはそれをやって充実したというか、僕は追い込みワークショップと呼んでいたんですけど、平均1人10テイクくらいやったりして。これをやると明らかに俳優の芝居がガラッと変わってくる。もちろん変わらない俳優もいるんですけど、分かる子はホント分かっていくというか。ワークショップをやる前と後では全然違っています。追込みって言ったらちょっと偉そうなんですけど、ぼくの追い込みをちゃんと受け入れてくれた人はやっぱり愛着がわくんですよね」

松枝「愛着がわくっていうと、あいつ能力無いけど「情」で使ってやるっていうイメージがある。でも、浩太さんが言う「愛着がわく」っていうのはキャラとして把握できるっていうことですよね。つまりすごく使いやすいってことですよね。」

吉田「そうそう、そうですね。指示したことに応えていってくれると、こっちが求める芝居のレベルだったり、もって行かなきゃいけないところを分かってくれるんですよね。そういう作業をワークショップやれたらいいなと思うんですよね。」

松枝吉田さんの作品は、どの作品にも、恋愛というか、セクシャルな部分が中心にありますよね。それはハズせないテーマなんですか?」

吉田「いや、正直、それは無くてもできるっちゃあできるんですよね。でも何か、恋愛とか、そっちにいっちゃうんですよね、結局(笑)」

松枝「前回うちでやってもらったワークショップのテキストも面白かったですよね。あれを作品にしたら良いんじゃないかと今でも思うんですが、今回のワークショップでやるテキストはもう決まっているんですか。」

吉田「どれやろうかなと思っているんですが、テキストは参加するメンツによって選ぶと思います。なるべくシンプルなやつにしたいなと思っています。一つの台本を4日間やるのかどうかまだ分かりませんが、人間の恋愛とか性とか、各人の持っているマイノリティな部分とか、そういうことに関する台本にできればいいなと思っています。4日間あるので、最終的には撮ることもしたいなと。時間の問題もあるのでまだ分かりませんが、シンプルに椅子に座って向き合って撮るような台本で撮れたらいいなと思っています」

松枝「次回作のキャストは決まっているんですか?」

吉田「ヒロインは決まっていますが、あとは特には決まっていません。ワークショップで光る人がいたらそれもありかなとは思っています。もともとオーディションする予定ですし。ハマる人がいたらいいなと」

松枝「どういう人に来て欲しいとかはありますか?」

吉田「自分の面白さみたいなのが分かっている人がいいですね。そこが分かっていないと大変じゃないですか。それから若い人には来てもらいたいですね。やっぱり若いと光るので、来てもらいたいですね」

(つづく)

----
吉田浩太監督による俳優のための実践的ワークショップ詳細