座ってなさい
チュー太郎を連れて夏子の実家へ……。
今回、実家に帰ってきたのは、
俺が夏子の両親と会うというのはオマケみたいなもので、
夏子の部屋の整理が目的だ。
夏子は、大学院を卒業すると同時に
実家から麻布十番へと引っ越した。
それ以来、まともに部屋の整理をしていなかったのだという。
いらない本、CD、資料など、それらを整理するために
一度実家に帰ったのである。
夏子 「ただいま~♪」
夏子父 「んぁーーー!! おかえりなさいっ!!」
夏子 「もう腰は大丈夫なの?」
夏子父 「大丈夫。もうテニスできる」
夏子 「んもぉ~、オッサンなんだから少し安静にして無いと」
夏子父 「……この方が電話で言ってた彼氏の?」
夏子 「あっ、私の親しい友だち」
え……(´Д`)
俺 「あっ、はじめまして!! 勇太郎といいます!!」
夏子 「お父さんだよ♪」
俺 「お邪魔だと思いながらもきてしまいました……」
夏子父 「……このワンコはキミの?」
俺 「あっ、チュー太郎は夏子さんの犬です」
夏子父 「なに!?」
ワンワンワンッ!!
俺 「コラ!! 吼えるなバカ!!」
夏子父 「……」
俺 「すみません!! チュー太郎しつけてないんです!! あはっ♪」
夏子父 「夏子か……
私の名前を犬につけたのは」
夏子さん?……(´Д`)
夏子 「愛着あるからつけたのに、怒んないでよ!!」
普通怒るよ……(´Д`)
夏子父 「まあ、夏子あがれ。勇太郎君もどうぞ」
俺 「は、はい!! お邪魔します!!」
夏子 「お父さん怒りんぼなの。ごめんね」
ムツゴロウさんだって怒るよ……(´Д`)
……お茶を飲みながら。
夏子父 「……勇太郎君は何してるの?」
俺 「あっ、IT関係の仕事ですね」
夏子父 「ITってよくいうけど、どんなことしてるの?」
俺 「パソコンに向かってカチャカチャキーボード叩いてるだけですね」
夏子父 「私くらいになるとパソコンはもうわからんなあ」
俺 「パソコンならいくらでもお手伝いしますよ♪」
夏子父 「ありがとう」
夏子 「あれ? お母さんは?」
夏子父 「今日はいないよ。用事で実家に帰ってる」
夏子 「えええええええ!!」
夏子父 「せっかく来てもらったのに悪いね」
俺 「いえいえ。こちらが急にきたので……」
夏子父 「何も夕飯がないぞ……夏子、どこか食べに行くか」
夏子 「久しぶりに何か作ろうかな♪」
夏子父 「作らなくていい」
……お父様、すでにわかってらっしゃる(´Д`)
夏子 「お姉ちゃんも帰ってくるでしょ?」
夏子父 「じゃあ帰ってきたら姉ちゃんに作らせる」
夏子 「うどんくらい作れるよ」
夏子父 「座りなさい」
夏子 「……」
夏子父 「……」
帰りてー……(´Д`)
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