金参萬円也
いま、朝です。
すっごくあせってます。
夏子の親友が結婚することになり、今日は披露宴の日。
しかし夏子は寝坊してしまい……少なくともあと20分以内に
家を出なくてはなりません……。
そういう状況で……。
俺 「冷静になれ!! まず冷静になれ!!」
夏子 「……あああああん!! もう時間ない!! 混乱してきちゃった~!!」
俺 「まず何を用意しなきゃなんない?」
夏子 「えーとえーと!! なんだったかな!?」
俺 「化粧したよな!!」
夏子 「したした!!」
俺 「その服、披露宴に着ていく服だよな!!」
夏子 「うん、そう!! これ着てく!! アクセもつけた!!」
俺 「あとなんだ……!?」
夏子 「あとアレ!! ご祝儀!! お金封筒に入れないと!!」
俺 「そうかわかった。どこだ封筒」
夏子 「これこれ!! お金2万円入れるの!!」
俺 「入れろ入れろ!! 2万円入れろ!!」
夏子 「あああ!! ご祝儀袋に名前と金額書かなきゃ!! 住所も!!」
俺 「書け書け!!」
夏子 「……夏子、字が下手なの」
俺 「んあ!? 俺が書けばいいの?」
夏子 「お願い!! 書いて!!」
俺 「書く書く!! 俺書く!!」
成瀬夏子 ____φ(.. )
東京都港区麻布十番…… ____φ(.. )
金参萬円也 ____φ(.. )
俺 「できたぞっ!!」
夏子 「キャ♪ ありがとう!!」
俺 「イッテコーーイ!!」
夏子 「ギャアアアアアアアアアアアアア!!」
俺 「はうあ!!」
夏子 「3万円じゃない!! 2万円!! 2万円よっ!!」
俺 「うはああああああああああ!!」
× 金参萬円也
○ 金弐万円也
夏子 「……もういい。時間ないから行く!!」
俺 「……ごめんよ。今夜、焼肉にするから……」
夏子 「そういう問題じゃない!! 行ってくる!!」
……完全に怒ってる。
こりゃヤバイ……。夏子がこんなに怒ったの初めてだ。
……夜。
夏子 「ただいま♪」
俺 「ごめんな……3万円」
夏子 「あっ? いいのいいの♪」
俺 「どして?」
夏子 「親友だったしさ、披露宴すっごく楽しかったし♪」
俺 「そ、そうかぁ。よかったあ♪」
夏子 「焼肉は?」
俺 「こういうオチだよな」
●『4.5畳の恋人。』とは?
●『4.5畳の恋人。』 を livedoor リーダーに登録する