45センチのテラス | 4.5畳の恋人。

45センチのテラス

間取図


「いまさらだけどさ……」

夏子 「うん」


俺 「この部屋のテラス、意味ないよな


夏子 「ふぁ~!? なんでよ」
俺 「だってさ、出られないじゃん


夏子 「勇太郎はバカね~。気合で出られるじゃん
俺 「毎度おかしなこと言うよな


夏子 「窓開けて、またいでテラスに出ればいいじゃん」

「あのさ、テラスとかベランダって、普通はガラス扉開けて出られるじゃん?」

夏子 「うん」

「窓またがないと出られないテラスって変じゃない?」


夏子 「幅45センチしかないのよ。何に使えると思ってんの?



「……まあ、使い道ないわな」

夏子 「……でも、ひとつだけ使い道あるわよ」

「なに?」

夏子 「ごみ置き場

「!!」

夏子 「こんな狭い部屋じゃ、ゴミ箱さえ置けないじゃない?」

「……そういやゴミ箱ないな。いつもスーパーの袋に入れてる」

夏子 「そのスーパーの袋、テラスに置いてるのよ。気がついてた?」

「!! 知らなかった!! マジで?」

夏子 「マジで」

「テラスに出られなくてもゴミは置けるか……考えたな!」

夏子 「でへへ。ふんぽこふんぽこ!!

俺 「は? ふんぽ……


※なぜこんな狭い部屋にわざわざテラスがついているか?
建築基準法には道路斜線制限というものがあり、ある一定の高さを超える建物は、景観に対して圧迫感を与えることがないように、建物を建てられる空間に制限が設けられている。つまり、夏子の部屋のテラス部分は“建物を建てられる空間”外であり、そこを部屋にすることができなかったわけです。




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