東京電力福島第1原発1~3号機で、原子炉格納容器を守るため圧力を下げる「ベント(排気)」をする前に、東電が原発周辺への放射性物質の拡散予測をまとめ、経済産業省原子力安全・保安院に報告したにもかかわらず、一般には知らされていなかったことが25日、分かった。住民が避難行動する際の一助になった可能性もあるため、事故の原因究明や検証をする政府の「事故調査・検証委員会」でも検証されそうだ。
拡散予測は、保安院が24日夜にホームページ上で公開した、東電からの通報文書など計約1万1000枚の資料に含まれていた。文書は、原子力災害対策特措法に基づき、3月11日の福島原発事故発生直後から送られたもので、同日は5月末までの分が公開された。
これによると、同原発1~3号機でベントをする前に、東電は燃料が損傷するなど重大事故が発生したと仮定。風向きや風速などを考慮しながら、1、3、5、24時間後に放射性物質の希ガスやヨウ素が拡散する状況などを予測した。東電は結果を保安院や福島県、同県大熊町、双葉町の4カ所にそれぞれファクスで送付していた。
一般に公表しなかった理由について、東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「排気筒から出る放射性物質の濃度が測定できず、推定した結果だったため」と説明。保安院の西山英彦審議官は「予測は保安院でなく、東電の考えだったため(あえて公表しなかった)。公表すべきだったかは、検証される必要がある」と語った。【河内敏康、野田武】
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