6時15分目がさめる
寝る前に聞こえていたテントにあたる雨の音がしていない
それだけでうれしくなる
体力も回復して 食欲も出て
2日ぶりに食事をした ぜんぶ食べた
昨日、4,200mの峠を越えたときには
ペルーおばちゃんからもらった アメですら体が受け付けず
3分後には甘い唾液とともに道端に吐き出した
量ることはできなかったけど
水とゲータレードと塩分だけでのトレッキングで
まちがいなく5キロ以上減量していたはず
朝食のあと 歩き始めたのが8時15分
心も快調だし 予想外に減量したせいか足取りも軽い
天気は相変わらずの降ったりやんだりだけど
遠くが見えないときは 近くの花を接写した
しかしあらためて ハイキングシューズは優れてること感じた
雨を歩いても水は入らず 通気性があって蒸れない
ハイテク靴下とあわせて 歩くときの衝撃も少ないし
濡れた岩のうえも滑らず 軽い
昨晩、外でシューズ脱いでテントに入り
シュラフにはいって横になり
目を閉じてからそのことに気がついて
あわててテント内にとりこんだ(よかった濡れなくて)
いくらハイテクでも 人為ミス対応ではない(あたりまえ)
シューズは今回のトレッキングでの 用具ナンバー1
インカ道を登ったり下ったりの 1時間後に
その昔の監視所についた 3,778m
500年前のインカの青年は どんなことを考えながら
ここで見張りをしていたのだろう
石の壁に手を触れて
その見張りの青年の心に同化してみる
そこからさらに5分ほど登り ルンクラカイの遺跡に着く
インカ道の関所だったがそうだが
インカを侵略したスペイン人は見つからず
1925年まで自然のままに埋もれていたそうだ
また降り始めた雨のなか 石段を一歩ずつ登る
10時ちょうどに本日の最高点 標高3,900mのルンクラカイ峠を越えた
そこから1時間でサヤクマルカの遺跡にたどりつく
雨に濡れた遺跡の静けさに言葉と時間を忘れる
霧の中を歩く
墨絵のような美しさ
遠景がだめならと
雨に濡れる花の写真を撮っているうちに 皆に遅れて
気がつけば自分ひとりになっていた
すると突然 霧が晴れる
深い谷間をはさんで反対側の
山の斜面に緑の木々がはっきりと見え
さらにその奥には遠く雪山が覗いている
こんなところを歩いているのか
すべての音は森に吸い込まれて あたりはまったくの静寂
目をとじて 山に向かうと
体も心も溶けてアンデスと一体になっていく
しっかりと自然に抱かれていることを感じて
涙があふれでた
心が受けた感動の この瞬間のために
これまでのすべてがあったのだと理解した
雨と霧につつまれたキャンプサイトに着いたのは午後2時少し前
心地よい疲れと
そして本当に感動した後の 満足感に深い眠りだった
5時少しまえに テントの外が騒がしくなる
起き出でてみると なんと霧が晴れている
日が沈むまでの ほんの30分
霧はかかったり 晴れたりを繰り返した
そして日没時に
はるか彼方までが見晴らせたとき
雪煙をあげたその山は
夕日をあびて神々しく光っていた









