私はロッカー・キーだけ持ち、ビールの自販機がある露天に向かった。
この施設にある自販機は現金を持たずともロッカー・キーで購入できるのだ。
買っている最中に、
(どうしよう・・・ビール7本も持てるのか?)
(いやっ、絶対無理だ!)
(脱衣所までバックを取りに行けないし・・・)
しばらく考えていた。
すると、先程の女の子が追いかけてきた。
「大丈夫ですかぁ? 持てないと思って迎えに来ました。」
(あ‶ー、なんて優しい娘なんだぁー!)
「じゃあ、2本だけ持ってくれる?」
私は残りの5本を両手と腹で俵の様に抱え歩き出した。
(うわぁぁ、洒落にならんほど冷てェーー!)
(でも女の子の前だから、我慢! 我慢!)
彼女達の所に戻り、ビールを配る。
私は凍りついた両手をすかさず温泉の中に突っ込んで温める。
(手がジンジンする~)
「ありがとうございまーす!」
「いえいえ、どうぞ。」
「皆で乾杯しよう!」
「お兄さんも一緒にしましょう!」
「あっ、はい。」
『カンパーイ!』
「ワァー、最高ー!」
「気持ちイイー!」
(取り敢えずこれ飲んでから出るか。)
飲み慣れないビールを口にし、視線は正面の二子玉の街並みを見下ろす。
「・・・・・・。」
「今日はお休みなんですか?」
(キターッ! もうそっとしておいてくれよぉ~)
「ええ、まあ~」
(何言ってんだよ、夜仕事だろうが!)
「皆さんは・・・学生さんですか?」
(あ~、訊いてしまった・・・)
「はい。」
(眼のやり場に困るじゃねーか。)
「・・・・・・。」
(ほら、何か言え!)
「皆さん、若くて良いですね。」
(何、爺みたいなこと言ってんだ。)
「お兄さんは、おいくつ何ですか?」
「49、もうお兄さんって歳でもないですよ。」
(また馬鹿正直に言ってしまった・・・)
「ええー! 全然見えないですよー!」
「すごーい! 若く見えるよねー!」
(ああ、やっぱ苦手だ、こういうの・・・)
(とっとと飲んでしまおう。)
(・・・・・・んっ!)
(ヤバっ! 脚が・・・攣りそうかも・・・)
(こうしてはおれん! 出なきゃ!)
#ピキーン!#
「痛ッ!」
(イッテェエ工ーーー!)
「・・・大丈夫ですか?」
「はっ? はい!」
(あれっ?・・・どういうことだ?・・・)
(あっ! ポカリ飲まなきゃ!)
ペットボトルに手を伸ばす。
(あっ! 2本とも開いて・・・ない!)
横を見る。
ビキニを着た若いお姉ちゃん達が六人いる。
#ピキーン#
「痛っ!」
脚に激痛が走りながらも頭が混乱している。
缶ビールを探す。
・・・・・・無い。
まさか・・・・・・寝落ち?
木に掛かってる時計を見た。
午後3時。
5時間も入ってんじゃーねーか!
記憶を辿ってみる。
(ええ~っと、お姉ちゃん達は確かに午後の1時に来たよな。)
(六人いて、ビキニも着てるし間違いないよな。)
(でも、缶ビールは誰も飲んでないよな。)
(ポカリのキャップが開いてなかったってことは・・・)
(あの時、飲もうと思ったまま・・・寝落ちしたんだ!)
やっと頭の整理が出来た。
こうしちゃおれん!
出よう!
攣った脚を揉みながら、何とか這い出た。
立ち上がろうとした瞬間、
ヾヾクラッヾヾ
ヤバイ・・・・・・貧血だ。
最悪だ。
まさか、あの再現は勘弁してくれよぉー!
ここはお姉ちゃん達がいて恥ずかしいから、何とか下のベンチまで行こう!
脚が攣りながらも何とかベンチに辿り着き、急いでポカリ2本をがぶ飲みして横になった。
しばらくここでまた寝よう。
もう夢の続きは見せないでくれ。