(これは、本日2026年8月28日に書いた詩です。)
『白いカーボンヒーターの最期』
二〇〇八年の十月三十日
この街に住み始めてから三年目の秋に
近くのホームセンターで買った白いカーボンヒーター
それ以来 十八年間
僕の住まいのダイニングルームを暖め続けてくれた
病がひどいときも 元気な日も
恋人がいたときも いない日も
秋冬はずっと そばにいてくれた
暖かい日は控えめに
寒い日は全力で
彼は僕を応援し続けてくれた
でも実は この二~三年は夏が終わると
いつ 新しい暖房器具に取り替えようか思案に暮れていた
集合住宅だから特に火災が怖いのが
その理由の第一だった
今年は夏が終わる前から
新しい暖房器具をネットで探していた
災害の際に停電しても働いてくれる
昔ながらの石油ストーブにしようか
それともテレビショッピングなどで人気の
パワフルなグラファイトヒーターにしようか
次々に候補が現れ
なかなか決まらなかったが 結局
新たな安全装置が付いた黒いカーボンヒーターに決めた
この製品は賢くて
「障害物センサー」が付いているので
洗濯物やキッチンの布巾などが被さると
自動的に電源オフになるのだ
よって火事の心配は最も少ないと思えた
ネットで注文を済ませ
我が家に新しいカーボンヒーターがやってくる
そのときまでに
古いカーボンヒーターを処分しなければならない
僕は 押入で眠っていた白いカーボンヒーターを取り出し
メジャーで寸法を測ると
残酷にもこれを解体することにした
僕が暮らしている街では
電気ストーブの場合
一定の大きさ以内なら無料で収集してくれる
彼には可哀そうだと思ったが
縦+横+奥行が 百センチ以内に収まらないと
粗大ごみ扱いになり 八百八十円の費用が発生する
白いカーボンヒーターと格闘すること約一時間半
彼はようやく指定の大きさに収まってくれた
ドライバー ペンチ スパナを駆使して
恩人を解体した僕は 汗を拭き
栄養ドリンクを飲んでから
彼への感謝と申し訳なさを
詩にして残そうと決めた
十八年間ありがとう白いカーボンヒーターさん!
そして、ごめんよ・・・
著者・霧島葵(54歳)
著作年月日・2026年8月28日
(C)Aoi Kirishima.




