(これは、本日2026年10月10日に書いた詩です。)

 

 

 

 

   『人間の本質』

 

 

十月のよく晴れた空を見ながら、

人間の本質は何かについて考えた

 

マーコとアオくんは今日も仲良し、

共に、ノルディック柄のカーディガンに

ブルージーンズという格好だ

 

マーコとアオくんの二人は、

人間の本質は「憧れ」だと言い合った

 

でも、それが、

他のたくさんの人々にも賛同してもらえるとは

思っていなかった

 

人間の本質が「憧れ」だと言ってくれる仲間は

千人に一人、いや、

一万人に一人くらいだと考えていた

 

では、どんな言葉で表現すれば、

人間の本質を言い当てることができるんだろう

 

たとえば、「心」

たとえば、「感情」

たとえば、「思いやり」

たとえば、「愛」

 

このあたりの言葉は、多くの人が支持してくれそうだ

 

でも、現実を重要視する人々は、

「知」、「力」、「金」、「数」といった言葉を選ぶかもしれない

 

その他にも、

「徳」とか「理」とか「味」とか「性格」とか「情熱」など、

さまざまな言葉が思い当たる

 

「繁栄」とか「栄光」とか「勝利」という言葉を選ぶ人もいるだろう

 

アオくんは、

「人間の本質を表す言葉は年によって変動するんじゃないか」

と言った

マーコは、

「年ごとにランキングを作ったらどうかしら?」

と言った

 

いずれにせよ、

「人間の本質は憧れだ」

というマーコとアオくんの意見は少数派だろう

 

でも、それでいいんだ

マーコにはアオくんがいるし、

アオくんにはマーコという理解者がいるんだから・・・

 

 

 

 

 

 

 

著者・霧島葵(54歳)

著作年月日・2026年10月10日

(C)Aoi Kirishima.

 

 

 

 

 

 

(これは、2002年12月20日に書いた詩です。)

 

 

 

 

 

『祝福に限界なく不幸に永続はない』

 

 

 

祝福とは造物主がつくった光のことをいう

この光にはどこまでという限界はない

無限の無を

どこまでもどこまでも照らし続けている

人はそのことに気付く必要がある

祝福に限界を設けてはならない

 

そして不幸

不幸とは一時的に光が届かぬ状態に置かれることをいう

人は嘆き悲しみ

希望を失いそうになるが絶望してはならない

黒雲が月光を遮り続けることができないように

不幸に永続はないのである

 

 

 

 

 

 

 

 

出典・『霧島葵詩集 小鳥のように』(銀の鈴社刊)

 

 

著者・霧島葵(30歳)

著作年月日・2002年12月20日

(C)Aoi Kirishima.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(これは、1990年1月24日に書いた詩です。)

 

 

 

 

 『海を見ていた日』

 

 

 

僕の中に何か

遠くに浮かぶ何か

恋人は知らない夢

猫のいぬ日

 

 

海岸線はずっと遠くまで連なり

たばこの煙はそれに重なり

波が消さなくても

静かに日は落ちた

 

 

家族連れは遊ぶ

僕はヘッドフォンをあてる

サーフボードが過ぎる

幻想の海

 

 

その瞬間に声は出ない

神が降りてくるそのお知らせの

光線は僕だけのものだった

あの時は僕のもの

 

 

缶ビールを恋人が

抱えて走って戻る前

 

 

 

 

 

 

 

 

 著者・霧島葵(17歳)

 著作年月日・1990年1月24日

 (C)Aoi Kirishima.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(これは、本日2026年8月28日に書いた詩です。)

 

 

  

 

 

  『白いカーボンヒーターの最期』

 

 

 

二〇〇八年の十月三十日

この街に住み始めてから三年目の秋に

近くのホームセンターで買った白いカーボンヒーター

 

それ以来 十八年間

僕の住まいのダイニングルームを暖め続けてくれた

 

病がひどいときも 元気な日も

恋人がいたときも いない日も

秋冬はずっと そばにいてくれた

 

暖かい日は控えめに

寒い日は全力で

彼は僕を応援し続けてくれた

 

でも実は この二~三年は夏が終わると

いつ 新しい暖房器具に取り替えようか思案に暮れていた

集合住宅だから特に火災が怖いのが

その理由の第一だった

 

今年は夏が終わる前から

新しい暖房器具をネットで探していた

 

災害の際に停電しても働いてくれる

昔ながらの石油ストーブにしようか

 

それともテレビショッピングなどで人気の

パワフルなグラファイトヒーターにしようか

 

次々に候補が現れ 

なかなか決まらなかったが 結局 

新たな安全装置が付いた黒いカーボンヒーターに決めた

 

この製品は賢くて

「障害物センサー」が付いているので

洗濯物やキッチンの布巾などが被さると

自動的に電源オフになるのだ

よって火事の心配は最も少ないと思えた

 

ネットで注文を済ませ

我が家に新しいカーボンヒーターがやってくる

そのときまでに

古いカーボンヒーターを処分しなければならない

 

僕は 押入で眠っていた白いカーボンヒーターを取り出し

メジャーで寸法を測ると

残酷にもこれを解体することにした

 

僕が暮らしている街では

電気ストーブの場合

一定の大きさ以内なら無料で収集してくれる

 

彼には可哀そうだと思ったが

縦+横+奥行が 百センチ以内に収まらないと

粗大ごみ扱いになり 八百八十円の費用が発生する

 

白いカーボンヒーターと格闘すること約一時間半

彼はようやく指定の大きさに収まってくれた

 

ドライバー ペンチ スパナを駆使して

恩人を解体した僕は 汗を拭き

栄養ドリンクを飲んでから

彼への感謝と申し訳なさを

詩にして残そうと決めた

 

十八年間ありがとう白いカーボンヒーターさん!

 

そして、ごめんよ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  著者・霧島葵(54歳)
  著作年月日・2026年8月28日
  (C)Aoi Kirishima.
 

 

 

 

 

 

 

 

 

(これは、1990年11月30日に書いた詩です。)

 

 

 

 

 

    『 風の寿命 』

 

 

 

 

 好きなひとを抱きしめるとき

 僕たちのなかの 僕たちのからだのなかの

 内臓やなんかは端のほうに寄せられて

 中央で実体なき想いが大きく占めて

 胸が苦しくなってしまう

 

 

嵐の日

 恋は嵐にたとえられたり

 一目ぼれは稲妻にたとえられたり

 僕は思う

 いつも風のある状態が恋

 雨は恋の場面に於て

 必ず風に曲げられて

 雪は必ず舞い散って

 そして穏やかな日も

 かのひとの声は風を呼ぶ

 風は強く吹いたり弱く吹いたり

 

 

風の寿命

 テレビで見た暴れ者

 十九個目の台風は

 いつか天気図に現れなくなって

 子どもの頃 不思議だった

 口づけをした次の日に大人が言ったっけ

 台風には寿命があるって

 風には寿命があるって

 

 

波に消えない文字

 風には寿命があり

 恋も天気図からいつか消えて

 雨にも 涙にも限りがあって

 僕とか君の存在さえも

 多分 波が消してゆく

 でも悲しく思うのはよそう

 

 背伸びしていたあの街で

 刻んだ一瞬は絶対に消えないのだから

 一億年の化石なんかより

 

     ずっと確かなものなのだから

 

 

 

 

 

 

 

 著者・霧島葵(18歳)

 著作年月日・1990年11月30日

 (C)Aoi Kirishima.