妄想地獄先生ぬーべー #16 夜毎の蛇の巻 | 開発くんのブログ

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ピン芸人開発くん劇場が日払いで一人暮らしの日常も芸人活動を書き綴って行きます。

舞台は阿佐ヶ谷中心

はぐれ鎌鼬「旨そうな人間だぜ」

奈絵「いやあ。来ないで」

はぐれ鎌鼬「悲鳴も最高だぜ。決めた俺はお前を食うぜ。いっただきまーす」

化物は口を開けて向かってきた

開発「虎穴に入らずんば虎児を得ず。虎陣。水縄」

はぐれ鎌鼬「ぐぎゃあ」

私の前に一人の男の子が現れた

開発「まったくこの町は退屈しないね」

男の子は肩に鞘に納まったままの刀を担いで化物と対峙した

はぐれ鎌鼬「貴様よくも」

開発「鎌鼬の成れの果てか。悪霊を見掛けたからには討滅しない訳にはいかない。手早く仕留めさせてもらうよ」

はぐれ鎌鼬「なめるな」  

はぐれ鎌鼬は戒めを切り裂いた

開発「やるじゃん。流石は風の妖怪」

はぐれ鎌鼬「ぬかせ。青二才」

開発「ふっ。くっ」

はぐれ鎌鼬「なぜだ。なぜ切り崩せない」

開発「虎視眈々。虎は一度見たものの動きを予測して敵を仕留める」

はぐれ鎌鼬「くっ」

開発「虎徹がお前の血を吸った。虎穴には入らずんば虎児を得ず虎陣発動」

はぐれ鎌鼬「なに」

はぐれ鎌鼬「ぐあっ」

鞘ではぐれ鎌鼬を地面に叩きつけた

開発「虎走斬」

はぐれ鎌鼬「ぐぎゃあ」

奈絵「あの」

開発「夜道は危ないから気を付けてね」

男の子は走り去ってしまった

数日後

開発「おはよう!ぬーべー」

ぬーべー「聡かお前は遅刻がないから偉いな」

開発「そんなのは常識だから誉められてもね」

ぬーべー「相変わらずだな」

僕とぬーべーは教室に入ると

郷子「可愛いなあ!」

広「この笑顔がたまんないんだよな!」

広君達が席に集まり雑誌を読んでいた

ぬーべー「あれ?その女の子は」

克也「なんだ。ぬーべー知らないの?」

開発「僕も知らない」

広「美少女アイドルの桜井奈絵ちゃんだよ」

ぬーべー「アイドル!?だってこの娘はまだ小学生」

克也「そんなの最近珍しくないよ」

郷子「この娘が凄いのはただ可愛いだけじゃなくて演技力抜群ってとこよね。奈絵ちゃんのお母さんはもう死んじゃったけど超有名な女優だったから…血を引いてるのね。特に今ドラマでやってる「さすらいの太陽・激闘編」の演技は感動モノよ。孤児院で育った少女がお母さんを探して日本中を旅する辛さ・悲しさがひしひしと伝わってくるの」

広「奈絵ちゃんと友達になりたい」

郷子「ムリムリ」

校長「鵺野君鵺野君。徐霊してもらいたいとお客さんが」

ぬーべー「あー来ましたか」

開発「除霊の仕事。僕も手伝おうか?」

ぬーべー「大丈夫だ。俺だけで」

奈絵「桜井奈絵です。初めまして…」

広&郷&ま&克&晶「うそー」

奈絵「貴方はあの時は」

ぬーべー「ん?聡知り合いだったのか」

郷子「うそー聡がアイドルと面識があるなんて」

広「うやましいぞこのお」

克也「聡ばっかり」

開発「何方様?」

周りの人達が一斉に転けた

応接室

開発「僕も同席していいの?」

奈絵「是非聡君にも聞いて欲しいの」

ぬーべー「という訳だから特別に許可する」

本題に入った

ぬーべー「金縛り?」

奈絵「そうなんです。もう一週間も前から夜寝ていると突然体が動かなくなって。お陰でここの所ずっと睡眠不足なんです。それでぬーべー先生の噂を聞いてここに来たら聡君と再会出来たの」

開発「成程ね」

奈絵「はじめのうちは何か黒い塊が乗ってくるだけだったんですけど最近では大きな蛇に体を締め付けられるようになって」

開発「それって心的ストレスじゃないかな確か最近ドラマ撮影をやってるって聞くから疲れや緊張で金縛りが発生する例もあるからね」

ぬーべー「その可能性もあるな。他にも蛇と言えば男性の象徴…ひょっとして好きな男でも出来たんじゃない。それでそんな夢を」

開発「ぬーべー顔がいやらしい。だから律子先生に嫌われるんだよ」

ぬーべー「うるせえ」

奈絵「夢でもストレスでもありません。私の体には蛇に絞められた跡があるんです。見て下さい」

すると奈絵さんは服を脱いだ

ぬーべー「わかったから服を着なさい」

郷子「男子は彼方いけ。あれ?そういえば聡は?」

奈絵「聡君聡君」

聡は鼻血を出してテーブルに突っ伏していた

郷子「やっぱりこうなったか」

桜井宅

開発「面目ない」

奈絵「大丈夫よ。私の方こそ御免ね」

広「聡って本当女に耐性無いんだな」

郷子「良いのよ。聡は此の儘で(女好きになられても困るし)」

開発「所で僕いつ奈絵さんと会ったの?覚えてなくて」

奈絵「私が聡君に会ったのは夜の帰り道で化物に襲われた時に聡君が現れて化物をやっつけてくれたの。すっごく感謝してるのよ」

開発「御免。覚えが。悪霊と戦うのは日常茶飯事だし」

広「ていうかお前俺達の知らない所でいつもそんな事を」

ぬーべー「確かに人助けは関心だがあまり無茶をしてはいかんぞ」

開発「肝に命じます」

郷子「ぬーべー。聡の場合困ってる人を見ると助けずにはいられない性分なのよ。とは言え聡がアイドルから妖怪まで落としちゃうジゴロとは予想外だったわ」

奈絵「郷子ちゃん私はそんな」

開発「?」

郷子「この鈍感ささえなかったらねえ」

開発「どういう手筈にするの?ぬーべー」

ぬーべー「まずは霊視だな」

水晶を取り出した

開発「守護霊だね。和服の女の人…血縁者かな」

奈絵「お母さんだわ!死んだお母さんが私の守護霊に…!?」

広「安心して寝ちゃったよ」

ぬーべー「可哀想に…よっぽど疲れがたまっていたんだな…」

開発「多分霊とは関係ないと思うよ」

広「えっ?」

開発「疲れやストレスがたまっていると金縛りと似た症状が出る事もあるんだよ。体は疲れて眠ってるのに頭は緊張して目覚めてるものだから体を動かしたくても動かない一種の神経症だね。霊的な金縛りとしてはインクブス等が知られているんだよ。黒いモヤッとした塊がお腹の上にのしかかってくるやつだよ。奈絵さんの場合仕事柄疲れやストレスがたまりやすい職業だからね」

ぬーべー「いつもながら素晴らしい考察だな。ま。念の為フーチだけは仕掛けておくか」

仕掛け終わり深夜一時半

開発「ねえ。ぬーべー」

ぬーべー「聡。寝てて良いんだぞ」

開発「少し気になる事があってさ」

ぬーべー「痕の事か?」

開発「今回の金縛り霊と関係がないなら蛇に絞められた痕はどう説明するんだろ」

ぬーべー「確かにそこが」

奈絵「う…」

奈絵さんの表情が歪み潡々苦しみだした、けど霊の気配はしない、すると奈絵さんの体に何かが締め付けていく痕が、僕達は何も出来ず広君が奈絵さんを起こしてくれた

開発「見えない霊」

三日後の土曜日

撮影所

監督「なにぃ。寝不足で力が出ない?そんなの理由になるかバカ」

スタッフA「ひょー監督荒れてら」

スタッフB「撮影遅れ気味だからな」

開発「(撮影の遅れ)おじさん達良かったらこれどうぞ」

僕は自販機で缶コーヒーを二本買っておじさん達に渡した

スタッフA「おっ良いのかい?」

開発「見てたら大変そうだったから」

スタッフB「有難うよ。じゃあ。頂くぜ」

開発「やっぱりこういうお仕事って大変なの?」

スタッフA「そりゃそうさ。俺達は言われた事を忠実にやらなきゃいけないからな」

開発「例えば」

スタッフB「大セットを一週間で作らなきゃいけなかったり」

開発「今回もそういうのあったりするの?」

スタッフA「あるぜ。今回のクライマックスで使う吊り橋がな」

開発「成程ね」

スタッフB「それじゃあな。缶コーヒー御馳走様」

開発「お仕事頑張って」

休憩室で泣いている奈絵さん見つけ事情を話した

奈絵「先生と聡君まで…私をそんな意気地無しだと言うんですか?私の母は…とても立派な女優でした。小さい頃から母のようになりたいとずっと思ってました。所がある日偶々私が見学に来ていた時事故でセットが崩れて来たんです。母は私を庇おうとして下敷きになり…亡くなりました。だから私は母の分まで頑張って立派な女優にならなければいけないんです!どんなに辛くたって逃げたりしません!私は女優なんです」

開発「ふっあはは」

広「聡?」

開発「そんな話聞いたから引き下がれなくなっちゃったじゃん。こっちにも陰陽師としての矜持があるからね。おめおめと逃げるのは性分にあわないんだよ」

ぬーべー「しかし見えない霊はどうする」

開発「実はね少し気になる事があってね」

ぬーべー「気になる事?」

開発「うん。ただまだ確証が得られている訳じゃないから。奈絵さんもし迷惑じゃなかったら明日撮影現場に同行していいかな」

奈絵「撮影現場に!?」

開発「そこに最後の判断材料がある筈なんだ」

ぬーべー「俺も聡の保護者として同行させてもらう」

僕とぬーべーは翌日撮影現場に同行した

監督「よーし。シーン120吊り橋の上での母子再会だ。クライマックスだ!気合い入れてかかれ!」

ぬーべー「聡そろそろ教えてくれないか?」

開発「多分今回奈絵さんに金縛りを起こしているのは奈絵さんのお母さんつまり守護霊がやってるんだよ」

ぬーべー「守護霊だって!?しかしなぜだ。守護霊は護るのが務めなのに」

開発「そうだよ。その務めを果たしてるんだよ」

大道具A「ったく…幾ら撮影が遅れてるからってこの強行は無茶だぜ」

大道具B「この大セットをたったの一週間で作らせたんだからな。釘の本数まで減らしてよ」

開発「ビンゴかな。丁度奈絵さんの金縛りが始まったのと同じだよね」

ぬーべー「まさか」

開発「そう警告してたんだよ」

奈絵さんが吊り橋の中央に来て動きが止まった

開発「ぬーべーはここにいて」

僕は奈絵さんのいる吊り橋の中央に急いで抱き抱えた

開発「奈絵さん」

奈絵「聡君」

開発「すぐに吊り橋を離れるよ。じゃないと」

監督「このクソガギ!何しとる撮影の邪魔だ」

吊り橋の向こうから監督さんが吊り橋の中央に来た

開発「来ちゃだめだ」

その時吊り橋が崩れた

奈絵「きゃあ」

開発「顕れよ。虎徹。形状変化」

虎徹を関節剣にして元いた場所に戻った

ぬーべー「聡。奈絵無事だったか」

奈絵「有難う。聡君」

開発「違うよ。お礼を言うべきなのは奈絵さんのお母さんだよ」

奈絵「お母さんに?」

開発「奈絵さんのお母さんはこの事故が起こる事を知っていたんだ。だから奈絵さんをこの役から降ろそうとしてあんな夢を見せていたんだ…奈絵さんのお母さんは死んでからも奈絵さんを見守っていてくれたんだよ」

奈絵「有難う。お母さん」

ぬーべー「聡いつまで奈絵をお姫様抱っこしてるのかな?」

開発「御免。奈絵さん」

奈絵「有難う聡君には二回も助けてもらっちゃった。何かお礼しないとね」

開発「お礼なんてそんな。僕は別に大した事。ムグ」

皆「えーーー」

奈絵さんは僕の口に唇を重ねられ何が起こったのかわからずへたりこむ

奈絵「こんなお礼で御免ね。でも私のファーストキスだから」

開発「ぼっ」

ぬーべー「わあっ聡が発火した。固まってる」

今度は僕が金縛りになってしまいました

#16 夜毎の蛇の巻 完