出稼ぎ2日目
ぷりりりりりりりり
ぷりりりりりりりりり
MASA「んあぁぁ?」
オンボロ脱獄料に備え付けられた目覚ましは…
人をバカにしたような音で俺を起こした。
結局1時くらいまで飲んでいたのだろうか…。
頭が痛い…
しかし「自宅ではない」という緊張感からか…
流石の俺も寝坊せずに起きられた
俺は髭を剃ってギャッツビーでいい匂いを纏わせ…
そして朝食へと向かった。
朝食会場に人影はなかった。
俺は遅番で時間ギリギリに行ったからか…
ガランとした朝食会場。
グビッとお茶を飲んだら体に沁みた。
MASA「さて…朝食は…と」
おにぎりか…
パンか…
まぁ期待はしていないが貴重な栄養源
大きな皿にサランラップ。
その中には…………
何も残っていなかった
出勤2日目
まずはフロント裏に行く。
流石にホテルから徒歩すぐの寮だし朝飯の時間も無かったので遅刻はしなかったが………
腹が減った
フラフラとフロントの裏へ行き作業書の通りゴム手袋とトングなどを取りにフロント裏へ行くと
昨日のウブ娘が忙しそうにしていた。
声をかけられる雰囲気でも無かったので、誰とも話さずに館内のゴミ箱を漁る
何も食わず…
誰とも話さず
コレ…コレじゃまるで…
チェックアウト前後の時間はひたすら館内にあるゴミを拾い集める。
ゴミ箱…
空き缶のゴミ箱…
ペットボトルのゴミ箱…
風呂場のペットボトルゴミを集めに行ったら昨日飲んだ学生3人組じゃない方3人がワイワイと清掃をしていた。
チェックアウトが終わると各部屋からゴミが集まる。
今度はそれを一手に引き受けて収集場所へと持っていく。
もう1日ずっとゴミと戯れている。
その間…
ずっと…
ずっと俺は一つのキーワードを呟いていた。
気が触れていたのだ
MASA「ビッグイシュービッグイシュービッグイシュービッグイシュービッグイシュービッグイシュービッグイシュー」
このキーワードが…後に事件を生むのである。
業務終了
昼飯はなんかまぶしたおにぎりで4つ食ってやった
そうして俺は丸一日ゴミとセ◯ッスをして仕事を終える。
まぁ一言で言うと…
ビッグイシューである
ただ仕事的には日雇いより全然楽です。
大学生達は楽しそうで、
男2人は仲良くなって…
1人はちょっと浮いてるおとなしい系。
3人組は相変わらずFラン全開。
女の子達は遠目で見かけるくらいだ。
1人だけお兄さんのMASAはずっとゴミを拾いながら独り言を言っている。
MASA「ビッグイシュービッグイシュービッグイシュービッグイシュービッグイシュービッグイシュー」
なんでだろうか。
ずっとゴミと遊んでるとこのキーワードが頭から離れなくなったのだ。
夕飯の前にシャワーを浴びてゴミノブからイケお兄さんに変身し、
食堂に行ってカレーを貪る
俺と同じ番で働いてるのは3人。
無口くんとFラン三人衆のケンゴ。
他はその前に飯を済ませたようで、
ケンゴは無口くんにガンガン話しかけていた。
カレーはまぁまぁ美味かったしガッツリ残っていたので3杯食った
MASA「ビッグイシュービッグイシュー
ビッグイシュー
ビッグイシュー
」
満腹感に包まれて部屋に戻り…
そしてビールでも買いに行こうとしたその時。
Fラン三人衆に遭遇した
大失態…
MASA「(ヒッ…)」
MASAのセンサーが警鐘を鳴らした。
カツアゲされる
危機感はあったが実際この3人とは昨晩飲んでいい感じでもあった。
若者との交流→パリピデビュー→モデル系JDとのセクロス
visionも見えていた
アキ「ウェーイ!吉田さんウェーイ!!!」
コウヤ「お疲れっすぅ〜!」
ケンゴ「乙っすぅぅぅ!!!!」
MASA「うぇ…ウェーイ…」
3人はスマホで音楽を流して聴いていた。
寮のリビングは部屋と離れていて普通に話したりするくらいなら聞こえない。
今日もFラン全開で騒いでいた。
この曲を聴いていたのだ。
爽やかな曲だ。
アキ「あーこの曲!◯ちゃん(モデル系)の前で歌いてぇーーーー!!!」
コウヤ「マジでいいわぁ〜!!!」
ケンゴ「吉田さん知ってますこの曲ぅ!?」
なんかテレビで聴いたことあるぞ!!!
若者の話題についていかなきゃ
っていう変なスイッチが入ってしまったのが運の尽きだった。
MASA「ああー!知ってる知ってる!!!
えっと……なんだっけ
えーーーっとここまで出てるんだよなぁ…
あの〜バンドのぉ〜〜〜……
ビッグイシュー!!!」
3人がビッグイシュー知らなかったのが不幸中の幸いでした。
クソ恥。
マジでこのバンド嫌いになりました。
2日目終了