起きた![]()
今日も仕事の必要がなく、
社会に必要とされることもなく、
俺はただねずみ色のジャージで寝ている。
街を見ればアホみたいに着飾り、
しょうもない作り笑顔。
スマホの中の自分の時間に渇望しながら
企業の奴隷として働かされている。
ただ1人俺を残して…。
俺は何のために生まれてきたのだろう…。
そんな事を考えながら空を仰ぐ。
真っ青な空だ。
桜花賞。
リバティアイランドの末脚は僕の存在理由を奪っていった。
1円にもならないインターネット活動を続けて15年くらいになるが、
競馬力は俺の人生の証明であり生きる意味だった。
今回の負けはあまりにも俺の精神にダメージを与えすぎたのだ![]()
思えば身も心もボロボロだ。
俺は精神だけではなく大怪我をした経験もある。
空を見ながら…何故かその日が思い出された。
回想
キィィィィィイ![]()

ドンッッッ![]()
とある春の日。
鈍い音が響いた。
浦和の十字路で乗用車と…
自転車に乗っていた少年が衝突する痛ましい事故があった。
そう。
自転車に乗っていたのが…
小学校5年生。
クラスでは背の順3番目…
ユニークで頭のいい少年。
まさのぶ君だった。
その場所は近所でも有名な事故多発ポイントらしくてな…
俺はぶっ飛ばされ、
自転車は遥か向こう。
角にある何かの看板に打ち付けられ、
驚いた顔をしながら…
俺はクソ及び小便を盛大に漏らしていた。
いや〜あの時なんでダッシュで突っ込んだってさぁ![]()
めっちゃトイレ行きたかったんですよねぇ![]()
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そこにきて車ドォォォンンン![]()
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漏れますよそりゃ![]()
とにかく驚いたまさのぶ君。
MASA「えっ?えっ?何?えっ?」
意識はあって、
痛みもそんなにはなかった。
少し足が痛んだけれど…。
ただ…ガッツリ漏らしていて、
その事に気がつかないくらい動転していた![]()
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事故に気づいた運転手が声をかけてきて、
そして近所の人もワラワラと出てきた。
そんなに痛みもなさそうで
少年の意識もあった。
だが…
オバちゃん「ええ!◯◯です!男の子!事故です!!!
失禁しています![]()
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ハイ!ハイ!!!」
失禁と脱糞を伴う一大事だと思われ救急車を呼ばれた![]()
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MASA「いや…コレ…![]()
ちがっ![]()
」
大人「いいから!しゃべらないで!」
大人「頭動かさないで!!!」
MASA「いや…ち……違うから
…」
大事になってしまった。
なんかもう本当に意識でも失ったフリしよう![]()
その方がコイツらも満足だろう。
そんな事を考えて寝たふりした事を鮮明に覚えている。
病院で頭を色々と調べられたが当然ノーダメージである。
俺は慌てて来たオフクロと共に病院に頭を下げた。
なんか…足がめちゃくちゃ痛い…![]()
歩くのもつらかったが、
なんか病院でめちゃくちゃオフクロに怒鳴られたので、怪我したとか言ったら怒られるものだ…と思って俺は何も言えなかった。
そして…家に着いて夜。
俺は寝っ転がってゲームをしていた。
そこへ………
ガチャ!!!
オヤジ「オイまさのぶテメェ![]()
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」
MASA「…ヒ…ヒィィィイエ![]()
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」
恐怖の象徴が来て…
やれ向こうの方が仕事中どうこうだの…
やれ周りの方にも心配かけてだの…
やれあそこは気をつけろと言っていただの…
やれみんな心配してだの…
あんまりにもしつけーのでね。
MASA「ハイハイ!![]()
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」
オヤジ「アアアアアァァァァ!!!??![]()
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」
ドンッッッ![]()
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俺の座っていた椅子を思いっきり蹴っ飛ばしてきたのだ![]()
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考えられるか?
交通事故直後の息子を蹴り飛ばすなど…
そういう人間なのです。
流石に母親に止められていたが、
俺もその事への怒りはおさまらなかった。
そして…翌日……
痛んでいた俺の足は真っ青に腫れ上がっていた。
オフクロに病状を告げると驚かれた。
MASA「ちょ…足…コレ………」
オフクロ「うわっ!アンタそれ昨日の!??」
MASA「…………いや………」
俺は昨日のオヤジの態度を恨んでいた。
MASA「夜おとうさんにやられました
」
………
そうして現在。
俺は当時のことを思い出しながら焼酎を飲んでいる。
ふぅ〜と加熱式タバコを吐いて空を見上げる。
ロクな人生じゃねぇなぁ〜![]()
皐月賞へ。続く。