回想
随分長い事務めたものだ…。
大手外資即辞め。
それから数年に渡り俺は無職だった。
高層ビルから工場のバナナ梱包へ…
そして漬物の工場とか…
様々な派遣などを働いちゃバックれ、
二度寝をし………
紆余曲折の中でようやく迎えられたこの団体であった。
入った日のことは忘れない。
MASA「なんだこの珍カス職場は…」
茶色いジジイが腕を組んで赤旗を読みながら発狂している…。
MASA「キメェ……」
いくら楽でもこんなヤベェ奴らと行動を共になどできるはずがないと思った。
まさに底辺…
まさに負け犬…
そう思ってから色々な人に出会った。
会長…団塊…事務長…副会長…会計爺…
会員…うぜえ会員…超うぜえ会員………
最初のうちはボコスカに叩かれまくっていたようだけれど…
でも………
団塊「いいか吉田!酒にはなあ!うまいか!ウンとうまいか!それしかねえんだよ!」
会員「吉田君!君は将来のK産党運動を担うんだから!!!」
会計爺「まったく!吉田!もうwww」
不思議と思い出すのは…
テーブルの上の焼酎とみんなの笑顔ばかりだ。
初めてのボーナス…
初めての後輩…
初めての出張…
初めての出世…
初めての懲戒…
ホッピーの飲み方も…デモの歩き方も全てを教わった。
そもそも仕事なんか続けられない俺だもの…………
そんな俺がもう7,8年くらい続けたのか?
今だから言える。
俺にはこの職場が合っていた。
そして本日
MASA「ああ…辞めたくねえ………」
そう思いながらも…もう手が無かった。
俺は呼び出していた
副会長・事務長・会計爺・前副会長…
前回言いくるめられた時の同じメンバー。
もうわかっているだろう…。
完全に話の内容は…。
団体事務所の重い扉をキイっと開ける。
副会長「……」
事務長「………」
会計爺「………」
前副会長「………」
MASA「………あ…あの…」
重い…重い雰囲気だった。
MASA「…お時間をいただきまして……ありがとうございます。」
俺は一礼するところから…最後の会話を始めた。
MASA「この度………私……ック!私ッ!!!」
ギュッと手を膝の上で握りしめ震えを必至に堪えていた。
MASA「この度…退職をさせていただかざるを得ないことになりましたあ!!!」
副会長「………ハア~」
事務長「………ッ」
会計爺「………うーん」
前副会長「………うむう」
それぞれがそれぞれの表情を見せていた。
副会長「…まあ。前にもあったからな。だろうなとは思ってたよ。やっぱり気持ち動いちゃってたか?」
MASA「…ッ!!!!!!!」
ガチで涙が流れてしまったのだ。
事務長「いや…今会長のこともあってさ。ね。年末の件もあったし、こちらとしてはそれでも君に…って思っててさ!そこら辺は理解して言ってるんだよね!」
こういう時地味に熱くなるのが事務長だ。
MASA「……………ック!!!」
震える握りこぶしに涙がこぼれる…
あと鼻水がマスクの中ですんげえことになっている
前副会長「ちょっと待って○○(事務長)くん!…とりあえず理由を聞いていいか?団体がイヤになったのか?」
前副会長は一番優しい。
MASA「いいえ……。正直…辞めるって決めて…改めて俺はこの団体が……ック!
この団体だ好きだって思うんです!!!!!」
俺は身も心も団体色に染まっていた。
そうだ。俺はこの気持ち悪い団体が大好きなのだ!!!
こき使われて!残業代払わねえクセに土日も出させて!
そのクセ遅刻とかに文句を言う!
ジジイとババアしかいねえこの団体が!
俺の居場所だってそう思ってるんだよおおおお!!!
そうだな…この感覚はあの日に近い…。
慣れ親しんだplace。
ここにいたいけど…振り返っちゃいけないんだ。
堕ちるとは捨てること。
親父の時計…爺ちゃんの形見…快適な実家…親族…
次に俺が捨てるのは職場だ。
俺は素直に話した。
MASA「実は…今…両親が身体を壊していて………そのお金が必要なんですよ!
だから…夜勤とかにしたり…あとは…変な話退職金とかでやりくりしないと!
いけないから………ック!!!」
前副会長「…そうか…。」
とりあえず退職金の件だけはプッシュしなくてはならないからな
副会長「…ごめんね。プライベートなこと踏み込んで悪いんだけど…
その両親の体調って言うのは入院とか?」
MASA「ええ……」
まーさか給料全ツして支払い不能とは言えん
副会長「えっとじゃあ気持ち的に団体を辞めたいとかそういうことではない?」
MASA「ハイ…もちろんです!」
副会長「じゃあさ…思いつきで言う事だけど…
例えば退職金だけ清算とかっていうことにすれば…
変な話勤め続けるとかっていうこと?」
MASA「……へ???」
想定はしていたが本当にきた
退職金だけ清算のパターンである!!!
だが…
事務長「いやいや…それは前例がないでしょ。規約上ムリだし。」
副会長「そうだけど!!!互いのね!雇用の意思がそれで解決できるなら!」
事務長「あのお!?今までも給料面で辞めた人いるわけじゃない!」
前副会長「いやちょっと待てそれは今本人の前で決めることじゃないし、可能なのかってことも検討して!」
MASAを放置して大バトルが勃発した。
そして…………
結論
………
吉田マサノブのガチ退職が確定しました。
最終的に決めたのは意外な男の一言だった。
会計爺「それは~システム的にも厳しいよ。彼だけ計算方法変えるとか途中解約ってのは。
ウチだけで積んでるんじゃないんだから。」
その後も色々話は出た。
例えば一度退職し、有給なりも清算したうえでもう一度新しく入職する。
という案も出た。
だがすると新人が理事としていきなり…とか勤続給が大幅ダウンするという問題があるらしく……。
MASA「ふふ…本当に僕のために………でも…やっぱり俺…ここで引きますよ。」
全員が下を向いていた。
ちょっと精神的ダメージが大きすぎるので詳細を書く気になれないが…
決まったことが3つある。
①締め日の都合で3/20を退職とすること
②有給消化で3/15が最終出勤日であること
③荷物と仕事の引継ぎを明日から急ぐこと
④会計爺の計らいで退職金はなるべく早く用意してくれるとのこと
⑤再就職が決まるまでの間、万が一人手がどうしても不足していたらアルバイトとして日給で手伝うこと
以上である。
まあ円満退職というやつだ…。
特に退職金について「なるべく早く」と…全員が賛同してくれた。
本当いい奴らだなあ………。
最後に前副会長から
前副会長「会長の偲ぶ会はさ………ホラ退職後になっちゃうかもしれないけど。来てくれよ?」
MASA「……ハイ。必ず…必ず行きます!!!!!!」
こうして俺は無職になった。
スッキリ?
ワクワク?
焦り?
何よりも寂しい感じがした。
本当に100万と引き換えに無職になりました
ありがとう………
ありがとう団体!!!
~次章:四万十川ジェームズ無職編へ続く?~