2022年お盆
ボーナスが消えかけていた。
だが俺には一つの決意があった。
旅に出る
今年の夏は何かがおかしかった
連勝続きのパチンコは突如として毎回大負けループ。
中京記念ハナ差で30万を逃し…
極めつけがアイビスサマーダッシュの買い忘れ。
何かが…何かがおかしい。
まあぶっちゃけ慣れている。
こういう星の元で日々生活しているのでね?
こんな経験は初めてじゃないし…
初めてじゃ…ないけど………
心は壊れるんだよ
出発前夜…思い出す記憶
前日の夜…
俺はしっかりと立てたプランを眺めていた。
目的地は………
緑のある場所。
自然豊かな場所だった。
群馬・埼玉は辛い記憶がこみ上げそうだったので辞めた。
正直富士に行こうと思ってたけど…
樹海行ったらきっと俺は………
そこで………
俺はファッション貧乏の奴らと違う本物。
給料日までの疑似貧乏を楽しむザコとは違う。
俺が鋼のメンタルだからこそ生きているが…
このレベルの人間が樹海に近づくのは絶対にダメだ。
俺は大森林清里に行くことにした。
俺は過去に一度だけ清里に行ったことがある。
小5の時だったか…
アノ時はまさに地獄であった。
ご存じの通り小学校にはスクールカーストというものが存在するが、
それは決してピラミッド型ではない。
実態はこうだ。
言うまでもないが俺は…
吉田君は
小4の頃にはデブノブとしてその下頂点に君臨していた。
当時から大人びていた俺は気にもしていなかったが、
林間学校では浮かれたクソガキが相手。
宿泊所の大部屋で寝ている時、
起きたら俺以外全員夕食をしていて、
誰も起こしてくれなかった上に、
何故か下半身裸で俺のカバンが廊下に置かれていて、
俺はフルチンで長い廊下を歩く羽目になった。
キャンプファイヤーで男女でダンスをする行事の時、
手を握った女子3名が泣いて、
後に「変態野郎」とクラス中からボコボコにされた。
※参照画像
そんな俺に転機が訪れたのは、
飯盛山に登った時だった。
俺のクラスにはでぐち君という奴がいた。
彼は暗くて無口。
スクールカーストのブービーという奴だった。
ドッジボールでよしだ君が線を大きく超えて、
至近距離で女の顔面にストライクショット。
長きに渡る男女戦争から一転。
手を結んだ男女連合軍に壁際に追い込まれ30人からボールを浴びせられる。
…クラスの奴らに血祭にあげられているとき、
クラスの奴らにボールを運搬するパシリになっていたのがでぐち君だった。
俺は奴が気に入らなかった。
自分と変わらない境遇でありながら、
よしだ君を盾にするとこで保身に走る狡猾さが気に入らなかった。
そして飯盛山に登った時…
息を切らしながらもなんとか登り切ったよしだ君。
それに対して…
病気がちなでぐち君はバス酔いで真っ白な顔をして
最後方を歩いてきた。
でぐち君「…うう…………」
クラスメイト達「チッ。ねえ!先生!でぐち遅いよ!」
教師「ちょっと待ってなさい!応援するんだこういう時は!」
クラスメイト達「チっ!!!」
よしだ君は…MASAはこの好機を逃さなかった!!!
ココしかない!ここで俺は!!!
コイツと最下層を入れ替わるのだ!!!
よしだ君はヒィヒィ言いながら休むでぐち君の前に立った!
よしだ君「オイ!!!wwwオイオイオイオイ!!!!
遅ええええんだよ!!wwww
みんな迷惑してるなあああ!wwwwww」
でぐち君はただ青い顔で呼吸を整えていた。
それでもよしだ君の猛攻は終わらない!
よしだ君「オイ!まだまだ!休むなよ!でぐち!www
出口はあっち!ここは入り口!ハイやり直し!HEY!!!」
小学生というのは単純なもので、
人間というのはクズなもので…
こういうやりとりであればすぐに笑い…
そして攻撃側を称賛するのだ。
クラスメイト達「オイ!wデブノブがなんかやってるぞ!!!」
クラスメイト達「ギャハハハハ!!!いいぞ!いいぞデブノブ!!!」
さあーきた!!!計画通り!
ここで俺はスクールカースト最下層を抜け出し!
そして面白キャラを定着させ
人気者へと大出世するのだッ!!!
よしだ君「ハイ!座らない!休まない!!!w
ブリブリ!ブリブリ!ブリブリ!ブリブリ!!!wwww」
でぐち君に尻を向ける煽りダンスにクラスメイトは大喜び。
クラスメイト達「いいぞwwwwwwwwブリブリデブノブ
!もっとやれ!wwwwwww」
よしだ君「ブリブリ!ブリブリ!ブリブリ!wwww」
もはやボルテージは最高潮ッ!!!
快感だった。
やられる側からの脱却。
そしていつも最後尾の俺より後ろの者がいる…
この優越感ッッッ!!!!!
その時だった
ドン
大きな衝撃…
そう。
でぐち君の…
憎しみを込めた全力のタックルだった。
もう一度思い出してみよう。
場所はココ。
よしだ君「!!!ホ!!!!???
ほわあああああああ!!!」
麓まで大転落…
そう…
初めて死を覚悟した瞬間だった!!!
よしだ君「うわあああああああああああ!!!!!」
でぐち君「…………ブツブツ…………」
クラスメイト達「やべえ!!!でぐちがキレた!!!
デブノブが落とされる!」
その時だった。
教師「何やってる!!!!!!!」
なんとかその場はおさめられたが…
後に宿泊先でボロカスに説教され…
何故か9対1で俺が悪いみたいにされ…
そして後に親に通告されて
帰宅後OYAJIにボコボコからの浴槽水攻め。
「でぐちはヤバいヤツだ」
クラスメイトにその認識が広がり…
結局俺はスクールカーストの頂点から抜け出すことができず。
残ったのは『ブリブリデブノブ』だけだった。
ことあるごとに
クラスメイト達「オイ!デブノブ!ブリブリやれよ!」
クラスメイト達「デブノブ。ブリブリ。ホラw」
クラスメイト達「ブーリブリ!ブーリブリ!ブーリブリ!!!」
よしだ君「…ブ……ブリブリ…
ブリブリ!ブリブリ!(涙)!」
卒業式の最後でもやらされたのだ。
クラスメイト
教員
でぐち君
OYAJI
四方八方からボコボコにされた思い出に膝を抱える出発前夜。
何の準備もしないまま。
時刻は深夜2時になっていた。
出発当日
清里までは時間がかかる。
俺の居住地から最寄り駅までは坂になっていて、
行きは15分。帰りは20分くらい。
そこから神田で乗り換えて…
そして中央線に乗り換える。
3時間ほど中央線で過ごし…
小淵沢から小梅線という2両編成のローカル電車。
コレ絶対鈍行で行くもんじゃねえだろ…
と思いながらの5時間旅。
時間がかかるし本数も少ない。
絶対に遅刻できない朝。
俺は思いっきり寝坊していた
MASA「ええええ……コレもう行く意味ないんじゃ…」
行くのか?寝るのか?
キャンセル料なんて着拒すればいいだろう。
頭がグルグル回る中…。
俺は軽装で旅へと出かけた。
男の服装なんてこんなものだ。
ブランド名が書いてあるだけで何万も払う意味が俺にはわからない。
そしてカバンなんていらない。
俺はエコバック(ダイソー)の中にパンツと靴下だけ入れて、
(あと充電器とタバコ)
旅立っていった。
きっとこの旅で何か…
素敵な何かに出会える…
人生を変えるきっかけに出会える…
そんな予感だけを片手に………
俺は旅立った。
そして…
この旅で…
とんでもないエロスを経験することになるのだ
〜続く〜