あの日。
ヴィクトリアマイルを買えなかった…。
1週間予想に予想を重ね…
最後パドックを見て結論を出し…
人生を賭けた勝負をする予定だった。
結論から言おう。
俺はその勝負すらすることなく
終焉を迎えた。
冗談のような現実。
悪夢のような不幸が俺に降りかかった。
ヴィクトリアマイルすら買えなかった。
勝負することもなく人生が終わった。
ブログの更新も。
コメントの返信すらもできなかった。
不幸に愛された男の本領がコレだ。
ヴィクトリアマイル当日
日曜日朝。
目を覚ました俺はいつもの通り、
鼠色のジャージ(オシャレなやつ)に着替え、
黒いスニーカーで外へ出た。
曇り空だが暑くも寒くもない気候。
大勝負の日。
手足は震えるがいつも通りの日曜日だった。
早めに行ってウインズで馬場とパドックを確認する。
昼には家を出ていた俺はいつも通りにタカラ缶チューハイを片手に駅に向かった。
俺はカバンを持たない。
ポケットには財布とスマホ。
イヤホンをして音楽を聴きながら、
手には使い古したビニール袋。中身はタカラ缶5本。
いつも通りJR駅までの15分を歩きながら、飲みながら向かった。![]()
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ただいつもと違うのは一つ。
腹が減ったのだ。
俺は途中の公園で座り、コンビニで買ったジャムパンを頬張り
公園のベンチで優雅に新聞を広げた。
まだレースまでは3時間もある。
早めに行って馬場確認…しなきゃいけないけれども…
俺はベンチでのんびりと…
ウマ娘やったり新聞広げたり…
無邪気に遊ぶ子供を眺めたりしながら
チューハイを飲んでいた…。
日曜の公園は親子連ればかり。
皆のんきでいやがる![]()
気づけばもう2時…
タカラ缶も4本目…
「さって。そろそろ行かねーとなっと。」
すっかりお世話になってしまったベンチに軽く会釈をして駅へと向かう。
「おろろろろ?![]()
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」
立ち上がるとフラついた。
寝不足と酒のせいだろう。
なんだか気分も高揚してしていい感じ![]()
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道に出た俺はスマホでオッズを確認しながら駅へ向かう。
その時だった。
キイイイイイイイィィーーーーーーッ!!!!!!!!
ガキの乗った自転車が…猛スピードで俺に突っ込んできたのだ。。。
大事故
「うわああああああああああああああああああ!!!!!!![]()
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」
俺は大慌てで回避を試みるが細い道…逃げ場などない!
そして…俺の右腕が…奴の体に…
ガンッ!!!!!!!!![]()
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弾き飛ばされた俺は左側の壁に激突
右手のスマホは道へと転がっていった。
「ぐうあああああ!!!!!!!!!」
ぶつかった右腕を押さえながらその場にしゃがみ込んでしまった!!!!!
そしてそこから…そこから最悪が何重にも重なる。
人生最悪の日になるのだ。
クソガキを…そしてジジイを許さない…
「てめえええええええええ!!!!!
どこ見てんだコラァアアア!!!!????」
右腕を押さえながらすぐに立ち上がる俺が叫ぼうとするも…
視界に入っていたのはまさかの光景。
遥向こう側。
ガキの乗った自転車が立ちこぎで全力ダッシュしていたのだ…
開いた口がふさがらなかった!
怒りで我を忘れそうだった!!!
だが…走っても絶対に追いつけない距離だった…
それでも諦められない!!!
誰かッ!!!
誰でもいい!!!!!
アイツを捕まえてくれよおおおおおおおおおおおおおお!!!!
そう心で叫んだ!!!![]()
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目で訴えて周囲を見渡した!!!![]()
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と。
心配そうに…憐れむような目で俺を見る周囲から
一人の男が俺に歩み寄ってきた。
「大丈夫?………
ダーーーメだよ歩きスマホしちゃあ。」
コレって当て逃げですよね?
ジジイ「ここ自転車の通りが多いから気をつけないと。
あんまり強く打ってるように見えなかったけど、頭とか打ってない?」
俺「え…いや頭は打ってませんけど、右手ですよ。」
ジジイ「もしアレだった救急車とか呼ぶ?」
俺「いやそれは全然いいんですけど…」
ジジイ「駅前だから歩くときとか気をつけてね。」
俺「はあ…えっと。コレって当て逃げで僕被害者ですよね?」
ジジイ「わからないなあ。それは。」
そして最初はジロジロ見ていた人間達も。
そのジジイも去って行った。
コレが世間。
コレが日本なのだ。
一人残された俺は放心状態で座り込んでいた…
身体以上に心が痛かった。。。
スマホを拾いなおす…
画面がバリバリになっていた![]()
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【状態】
①事故で負傷
②俺が悪いみたいな不当な扱い
③スマホ破損
②へ続く…
