長い長い話だった。

 

 

経過。

なぜそうなったのか。

 

説教。

 

暴力。

 

 

その繰り返し。

 

 

終わったのは夜中の12時近く。

 

途中でカードの利用履歴も開かされたりした。

 

 

 

 

最後は吐き捨てるように。

本当に吐き捨てるように奴らは言った。

 

「なんでお前だけこうなってしまったんだろうな。本当に愛想尽きた。」

 

 

本音だろう。

 

 

 

 

 

部屋に戻った俺。

 

その腕には一冊の通帳が抱えられている。

 

 

歯を折られた相手。

一生恨む相手。

さっき俺を殺そうとした相手。

 

 

なのに俺の頭は感謝でいっぱいだった。

 

見たことのない金額の通帳を大事に机にしまう。

 

 

歯の痛みは相変わらずすごい。

 

ティッシュで応急処置をして傷だらけのまま。

 

俺は布団に入った。

 

 

もうギャンブルはしない。無駄遣いはしない。返済用のこの金には手を付けない。

それが約束、いや条件だった。

 

 

もうギャンブルはおしまい。女にも使わない。

そして、

オヤジ・おふくろ・ばあちゃん…

 

ありがとう。

 

 

 

 

そう思って俺は、泥のように眠った。