飲み会で現ナマを作った。

 

 

ホクホクしていた。

21名の大宴会の飲み代が手元に。

 

 

なのに…なのになぜ?

1人分の3,000円しかないのはなぜ?

 

 

競馬は当てまくりでした。

【京都1レース】

メイショウカギロイ

2着

 

【京都2レース】

ラクロアクリスエス・タマモストーム

1・3着

 

【京都6レース】

スマハマ

ダントツ人気馬を抑えて勝利

 

【京都8レース】

ミキノトランペット

ダントツ人気馬を抑えて勝利

 

【中山7レース】

サイドチェンジ

最後の最後で2着

 

【中山8レース】

ソレイユドパリ

圧勝

 

【中山9レース】

リンガスウーノ

着外

 

なかなかのものである。

特に1.2倍とかを制した本命の勝利は見事

これぞ院卒馬券である。

 

なのに…なのになぜ。

 

なのになぜ相手が堅い。

ヒモが抜ける。

 

そしてなぜ…なぜ199のシンフォギアが900ハマる。

 

明らかにおかしい。

 

競馬に関しては本命以外の予想がないがしろになった。

だがパチに関しては最近おかしい。

 

もうパチはやめた。

 

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さて、高知でのできごと。

 

大人リサから逃げ出した日の夜。

 

俺とリサはネカフェにいた。

 

「ちょっと吉田」

「はい。」

「宿ってまさかここなわけ?」

「…はい。」

 

「ネカフェ…しかもなんでペアシートなのよ!!!」

「こっちのが安いんだよ!!!」

「イヤよ!なんでこんな狭いとこでアンタと!」

「いっ!いつものことじゃねーか!!!」

「こういうとこは別!」

「いや。リサよ?住めば都って言うだろ?」

 

そんないつも通りの会話を繰り広げながら俺はメロンソーダ、リサはホットカフェオレを飲んでいる。

リサのわきには少女マンガが積まれている。

「なんだかんだ楽しんでんじゃねえか…」

リサは「あーこれこうなるのねー」「キャー!ネタバレしちゃった!」などと言いながらくつろぎモード。

 

これこれリサさん。大事なこと忘れていますよ?

 

「でリサよ。」

リサは読書を邪魔されたのが気に入らないのか怪訝そうにこっちを見る。

「何よ?」

 

「何よ?じゃないだろ!アレがお前ってどういうことだ…?」

 

リサは手に持つ漫画をおろし改まった表情。

 

「あのね吉田。信じてもらえないと思うけど信じてほしい事があるの。」

矛盾しておる。

 

だがもう大体のことは信じられるだろう。

信じてなきゃこんな信じられないことはしていない。

 

ああなんでも来いよ、正直お前のことは全部信じてやる。

突拍子もない話でもなんでも受け入れてやる。

 

 

「私ね…

 

 

過去から来たの。」

 

「………

 

 

嘘つけーーーーーーーーーーーい!!!!!!!」

 

早速信じられなかった。

 

「…まあそうなるわよね。こんな話。」

「いやそうなるだろ。ちょっと真面目にお願いします。」

 

そんなことを言うとムッとされた。

 

う~ん。意味が分からん。

本当にそんなことがあれば奇跡の大ニュースになっている。

しかし現代平成も終わろうかという新世紀直前に微塵もそんな話は聞いていない。

ていうかそういうのって大体未来からだろ。

過去って…設定が甘すぎる。

 

 

だが…

 

目の前にある顔、見慣れたかわいい顔。

 

この顔は確かにあの屋敷で見た。

そして名前…あのリサ似の女性の名前は…リサ…

あれ?

まさか…本当に…???

ええええ?????

 

「えっっと…リサさんや?」

「何よ?」

「じゃあその助けてほしい人ってのは…」

「現代の私よ」

「その人が死んだら私も死ぬってのは…」

「私がその年になればそうなるから…」

 

「じゃあ…じゃあ…25歳の超絶美人ってのは…」

「勿論私のことよ?」

 

「自分で言うなーーーーーー!!!」

スコーン!とリサの小さなおでこに手のひらをぶつける

「なっ!何すんのよ!超絶美女じゃない!!!」

 

…否定は…できない。だが自分で言うなバカ。

 

もう信じるとか信じないとかどうでもいい気がしてきた。

「ハァ…。でそれでなぜ俺が仲良くなる必要があってなんで死ぬんだ大人リサさんは」

「何ため息ついてんのよ…それに大人って私ももう大人よ」

アーハイハイ、とあしらう俺にリサが少しムッとして言う。

 

「現代の私はもうすぐ結婚させられるわ」

 

 

 

ドクン。

ギャーギャーと騒いだ脳内が静まり返った。

 

リサが結婚。

 

その一言で心臓が音を立てた。

 

あの女性はさっき会ったばかりの他人だ。

なのにこの気持ちは…

なんだこの気持ちは…

 

自分の気持ちに整理ができない。

 

なんだこれ。

嫉妬?ショック。わけのわからない感情が渦巻く。

でもなんで。

 

しかしあのリサは結婚適齢期…

俺じゃないんだから…

彼女は、そしてこの子は…いいとこのお嬢様なんだから…

 

数日間苦しみながらも少し明るかった俺の表情がいつもの吉田まさのぶに戻る。

暗く、暗く、ただ暗い。目の下が黒く頬が垂れたヒョロ髪のゴミだ。

 

「…へえ…めでたいことじゃないか。おめでとう。」

 

俺は冷たく言い放つ。

 

また。またいつもの自暴自棄。

かっこつけて興味なさげにな。

どうでもいい。

俺にはどうでもいい事だろ?

それに慣れたことだろう?

 

 

と…顔を上げると。

リサが目に涙を浮かべていた。

 

「おめでとう…じゃ…ないわよ…」

 

 

「ご…ゴメン!なんかまずいこと言ったかな!?」

 

慌てふためく俺にリサがうつむいて…

そして…涙をポロポロとこぼした。

あのリサが…泣いていた。

 

「イヤなの…結婚なんてしたくないの…」

顔をグチャグチャにして声を絞り出す。

 

俺はティッシュで涙を拭う。

 

「ゴメン無神経なこと言った。」

「………アンタ…。優しいわね…。」

 

うれしい一言だった。

 

何年ぶりか…。人に評価された。

 

俺も…

 

俺も涙が出た。

オヤジに、職場に、女に、世間に…

 

必要とされてこなかった。邪魔な扱いをされていた俺に。

少女が救いをくれた…。

 

 

「なんでアンタも泣いてんのよ…」

涙でクシャクシャになってリサが言う。

 

「な…なんでもねーよ…」

 

ネカフェで号泣する二人。ハタから見ればおかしな光景だ。

 

 

「あのね吉田。私…親に結婚させられるの。

相手は最低なやつ。優しさのかけらもない。

でもね…パパの研究のスポンサーで…年齢も年齢じゃない…

それで…ムリヤリ…」

 

声を絞り出すリサ。

 

「そして私は…結婚前日に飛び降り自殺する…現代の私はもうすぐ死ぬの…」

「お前それで…」

 

「そう…。未来へ来たのはそのため。

私ね…なにも考えずに生きてきたの。

自分の夢もなにもない。ただ人より恵まれた環境でのうのうと。

好きな人もいない、やりたいこともない…、

ただ未来転移を研究しているパパの成功だけが夢だった。

それで…コッソリ試作品を使って未来に行った…

最初は10年後…今から4年後。

その時私は死んでいた。

なにもせず。何も残さず。自ら命を絶っていた。

それが今から3か月後なの…」

 

なるほど…リサが未来転移したのは今回が初めてではいということか。

 

「それで…過去へはどうやって帰るんだ…?今は何回目なんだ?」

 

「これは2回目の転移。1度目の未来を回避するために私はここに来た…。1度目は高知に転移したのに今回はなぜかアンタのとこだったわ。

帰るのは2日後。10日経つと強制転移で戻されるわ。」

 

リサとの別れが近づいているという知らせだった。

 

信じられない話だが俺は全てを信じた。

泣き疲れてそれ以上の話はしない。

 

並んで寝そべりブランケットをかぶる。

 

勝負の2日間が始まる。

 

 

 

「あのさ…リサ…起きてるか?」

「なによ…」

 

「一つだけ確認したいことがある。」

「なに?」

 

リサがこちらを向く。

 

「現代のお前ってさ、処女?」

「まあそうなんじゃないの?じゃなきゃ結婚なんてさせられないし、遺書に好きな人もできなかったって書いて…って!何聞いてんのよ!!!」

 

顔を真っ赤にしたリサの久しぶりの鉄拳が飛んでくる。

 

「そうか。俄然やる気出てきたぜ。」

 

 

俺はつぶやいて眠った。

 

 

~~~~~~

翌日

 

店を出ると俺は高らかに宣言した。

 

 

「リサ!」

「な…なによいきなり…?」

 

「お前は俺がもらう!!!」

 

 

「………は?

 

はあああああああああ!!!!!????????????????????」

 

 

俺がリサを救う。