夢か現実かわからない日々が続いている。
本当に頭がおかしくなっているのだろうか。
ぼんやりとした頭なのは寝付けなかった昨日のせいもあるのだろうか。
気づけば俺はパチ屋にいた。
財布の中を一枚づつ投入。
1000円…2000円…3000円…4000円…5000円…
座った台は牙狼。
なんにもない…。
もう金がない。負けられないのになんもない。
アニメリーチだけ。漆黒すらない。
6000円…7000円…8000円…
なにも…何も起きない。
そして…
9000円。
コロン。と音を立てて最後の球が下に落ちた。
ワナワナと口を震わせる。
体感は10分くらいなもの。
何もないんだもの。
あまりの消化不良感に叫びだす気持ちすらわいてこない。
ボーナス・年末調整・給料
全てが1月5日に消えたというのに。
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店を出ると寒そうに待っていたリサがいた。
「よ!吉田!どうだった!?………よし…だ?」
声が出てこない…
そうだ…俺はリサを家へ送るために…パチ屋へ…
「…あ…うあ…うあああああああああああああああああ!!!」
意識がハッキリとしピンチに声を上げた。
「ちょっ!まさか吉田!!!負けたわけ!!!?」
命がかかっているらしいリサは必死の形相どころじゃない。真っ青な顔をしている。
「おろろろろろげええええええ」
吐きそうになる俺にリサが追い打ちをかける。
「バカーーーー!!!あんだけ何とかしてやるとか言いながら…何してんのアンタはーーー!!!!」
「ま!待て待て!まだ策はある!!!」
「…ななによ…?言ってみなさいよ…」
「リサ。お前渋谷いっておっさんを見つけてこい。できればデブでバーコードハゲ。結婚できなさそうな40代が理想だな。」
「そ…それで…?」
真剣な目で策を伺うリサ。
「ねえ~ん。おじさんコレで私と遊ばない~?」俺は指を5本出すポーズ。
「このバカーーーーーー!!!!!」
百裂拳が飛んできた。
「じょ…冗談だよ!!!真面目に聞くな!ちゃんとまだ策はあるから!!!」
俺はそのまま隣のコンビニへと入り、青紫のカードを取り出した。
プロミス。
まさかボーナス翌月にも使うことになるとは。
返したばかりの1万円を出金。
「何よ!お金あるんじゃない!」
「イヤ。限度額ギリギリの借金上限だ。」
「誇るなバカ…」
俺は勇み足でパチ屋へ。
「ちょっとまだやるの!?」
焦るリサに俺はこういう。
「もう他に道ねーんだろ?信じて待っとけ。」
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ぼんやりとした頭で俺は再びパチ屋にいた。
限度額の1万円が吸い込まれた。
次に座ったのはアリア2
1000円
2000円
3000円…
回転時赤フラッシュ(信頼度19.5%)も二度外した。
4000円…
5000円…
6000円…
7000円…
アレ…勝たなきゃいけないのに…。
誰かを守らなきゃいけないのに…
誰か…あれ…。夢だっけな…。
と。
シュイン!ポーーーーン!!!!!
「来た…」
アリアが牙狼剣風に飛び込んできたのだ!!!
「刺され!!!刺されえええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!」
ガシン!!!!!!!!!!!!!!!!!!
来ました。
アリア保留(信頼度40%超)
そして…
ヒステリアモード!
さらになんとヒステリアベルゼ!!!(信頼度70%)
ストック2(信頼度46%)
さらにフィギュア予告(信頼度60%)
そして…
最後のボタンは…
風穴開けるわよ!!!ウィーン!!!(信頼度75%)
さて。
アリア保留(信頼度40%超)
ヒステリアベルゼ!!!(信頼度70%)
フィギュア予告(信頼度60%)
風穴ボタン(信頼度75%)
完璧すぎる。
結果は勿論。
スカ。
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死んだ顔の俺を見てリサは何も言わなかった。
「リサ…ゴメン…おれ…」
「いいの…。私のためにしてくれたんだもんね…迷惑かけてゴメン」
優しさが痛い。
俺は唇を噛んだ。
そして自分の口からあり得ない一言が出た。
「まだだ!!!明日!明日の夕方には必ず連れて行く!!!」
驚くリサ。
だって助けると決めた。
この子を。あの笑顔を。
俺は家へと帰ることにした。
しかしオヤジにどんな顔で会えば…
というかリサのことはどう…
ていうか大見え切ったけどもはや資金も…。。。
スタートで終了した旅の始まりだ。
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意識がない。
俺はコンビニにいた。
何かしなきゃいけない。
そう思いながら新聞を握りしめている。
ああ。資金。どうしよう。
そう考えながら。