「第九」100年   歓喜の歓声

アジア初演の地     鳴門で演奏会

第1次世界大戦下、徳島県鳴門市の

板東俘虜収容所で、

ドイツ兵捕虜が

ベートーベンの交響曲第9番(第九)を

アジアで初演奏してから

100年となる1日、

収容所跡地近くの広場で、

市民らが当時とほぼ同じ

人数規模の約120人で演奏会を再現し

歓喜の歓声を響かせた。

収容所には

1917~20年、

中国・青島で日本軍の捕虜となった

ドイツ兵約1000人が収容された。

当時の松江豊寿所長は捕虜を

人道的に扱い、

パン作りやスポーツ、芸術など

様々な活動を認めた。

こうした雰囲気の中、

捕虜たちは

「徳島オーケストラ」と

合唱団を結成し、

18年6月1日、

約130人が

収容所で第九演奏会を開いた。

同市やドイツの研究機関の調査で、

これがアジア初演の第九と判明した。

ちょうど100年後のこの日、

演奏会は、

市民らでつくるNPO法人

「鳴門『第九』を歌う会」と市が開催。

合唱者は当時と同じ男性だけに絞り、

現存する初演のプログラムに記された

開演時間と同じ午後6時半から

約1時間、第九を演奏し、

歌い上げた。



聴衆は500人以上に上り、

松江氏の銅像の除幕式などのために

ドイツからも元捕虜の孫ら約25人が

来日し、演奏会を鑑賞した。

元捕虜の祖父が

当時の演奏会のチラシのデザインを

したという孫の

ペトラ・ボーナーさん(67)は

「すばらしい演奏会を

プレゼントしてくれて、

感激している。

祖父が隣に座って一緒に聴いている

ような気がしました」と喜んだ。


【読売新聞6.2】