-- 追跡  仮想通貨  ⑤ --

【読売新聞5.9】

他人のPC使い「採掘」

昨年12月、

滋賀県・大津市にある

社団法人

「滋賀グリーン購入ネットワーク」の

サイトを閲覧していた

滋賀県庁の職員のパソコンが

異常を検知した。

専門業者が調査すると、

サイトが改ざんされ、

「コインハイブ」と呼ばれる

プログラムが無断で仕込まれていた。

仮想通貨には、

膨大な取引履歴をインターネット上の

台帳に記録する作業に協力すると

新規発行の通貨が得られる

「マイニング(採掘)」という仕組みが

ある。コインハイブは、サイトや

広告に仕込むことで、

閲覧する多くの人のパソコンや

スマートフォンの

データ処理機能をマイニングに使い

仮想通貨「モネロ」を採掘できる

プログラムだ。

この社団法人のサイトに

コインハイブが仕込まれていたのは

3日間。担当者は

「月間の閲覧数は13万件ほどあり

気づくのが遅れれば多くの方に

迷惑をかけるところだった」と話す

*

他人のパソコンなどを

マイニングに無断で使う不正行為が

広がっている。

以前はメールや不正サイト経由で

パソコンをウイルスに感染させ

マイニングを行っていたが、

昨秋、ネット上で公開された

コインハイブは

「広告に頼らずに収益が得られる」

とうたい、誰でも利用できる。

これをサイトに仕込み、

閲覧者のパソコンやスマホを無断で

使う手口が急増している。

情報セキュリティー会社

トレンドマイクロは、

人気漫画などを無断で掲載していた

海賊版サイト「漫画村」にも、

コインハイブが

仕込まれていたことを確認した

漫画村の運営者か、

別の誰かが仕込んだのかは不明だが

多くの人が長時間、閲覧する

漫画村は、マイニングには好都合だ

Twitterには一時期、

「漫画村を見るとスマホの

バッテリーがすぐに減る」などの

書き込みが並んだ。

トレンドマイクロは

「マイニングに利用されていた恐れが

ある」と推測する。

*マイニング自体は不正行為ではない

東京・秋葉原では

昨年から、自前でマイニングを行うため

専用の機材を求める客が

中国や東南アジアなどからも集まる

「ドスパラ秋葉原本店」の

黒川裕大店長(30)は

「仕入れる先から売れていく」と話す

ただ、機材は一式数十万円で

作業には電気代もかかる。

他人のパソコンを勝手に使うのは

そのためだ。

ネットに詳しい

北條孝佳弁護士は

「他人のパソコンに勝手に

マイニングさせることは

意に反する動作をさせる

不正な指令にあたる恐れがあり

不正指令電磁的記録併用罪になる

可能性がある」と指摘する。

トレンドマイクロの岡本勝之氏は

「サイトを閲覧させるだけで

仮想通貨が入手できるので

従来のサイバー攻撃に比べて

不正な利益を手にすることが

容易になった」と分析。

「ネット空間での

不正行為のハードルが

下がってきている」と懸念する。


(大沢帝治、安田信介、浅見徹が担当)