ダウン症  消防士に脚光

【読売新聞3.23】

オーストリアの山あいの村にある

消防団の青年組織で活動する

マルティナ・ガレアーさん(18)が

『ダウン症の女性消防士』として

脚光を浴びている。

防災知識を熱心に学ぶガレアーさんを

支える仲間の結束も強まり、

障害者が地域社会と関わる

モデルケースとなっている。

【オーストリア西部シュルンス 井口馨】

山肌にスキー場が点在する

人口約3700人のシュルンスの

消防団の拠点は、

集落の中心部にある。

敷地での消火訓練に参加した

特別支援学校生のガレアーさんは、

先輩の消防士と一緒に、

水圧の強いホースを力強く握り、

放水を続けた。

消防士の制服姿で取材に応じた

ガレアーさんは

『勉強してもっと上を目指したい』と

意気込みを語り、

左胸に付けたブロンズの

記章を誇らしげに見せた。

両親の勧めもあって13歳で

青年組織に入ったガレアーさん。

2016年には、

基礎的な消火技術や知識を

習得したことを証明する

内部試験に合格し、

ブロンズ記章を手にした。

この合格は、

ガレアーさんと

仲間の約20人が力を合わせた

結果だった。

仲間たちは、

発話が円滑でない

ガレアーさんのために、

ヘルメットや懐中電灯などの

装備品を描いたり、

ロープの結び方を図示したりした

カードを手作りし、

試験でガレアーさんが

カードを使って回答できるようにした

青年組織の責任者の

シュテファン・ゴーセンスさん(43)は

『いつも輪の中心にいて

熱心に学ぶガレアーさんの姿に、

彼女を支えたいという気持ちが

自然と皆に共有された意義は大きい』

と指摘する。

青年組織は、高齢者施設の

クリスマス行事への参加など

地域社会で中心的な役割を果たしている

ガレアーさんは

『消防の仲間と一緒にいるのが

とても楽しい』と笑顔を見せた。

ダウン症は

染色体異常を原因とする先天性疾患

約1000人に1人の割合で生まれるとされる

国連が定める

『世界ダウン症の日』の21日は

世界各地で様々な

啓発行事が行われた。