西部すすむ

78歳

保守派の評論家

21日午前6時40分頃、

東京都大田区田園調布の

多摩川河川敷で、男性から

『川に飛び込んだ人がいる』と

110番があった。

警視庁田園調布署員が救助したが

搬送先の病院で死亡が確認された。

溺死とみられる。

同署幹部によると、亡くなったのは

評論家、西部すすむさん(78)

(世田谷区)。

家族が同日午前3時半頃、

西部さんが自宅にいないことに気付き

行方を探していた。

河川敷で遺書が見つかったころから

同署は自殺とみている。

西部さんは北海道生まれ。

東大在学中の60年安保闘争で

新左翼運動を先導した後、

同大大学院で経済学を専攻。

1986年に東大教授に就任するが、

88年に教授会のあり方を不満として

辞職、以後は評論活動に力を注いだ。

その主張は、

スペインの哲学者オルテガらに

触発された大衆社会批判などを

柱とする保守思想。

経済学や

思想史の学識を踏まえた議論は、

左翼からの『転身』という

自身のドラマ性とも相まって注目を

集めた。米国主導のグローバリズムを

批判する自らの立場を

『真正保守』と称し、

摩擦を恐れぬ社会批評を展開した。

83年に

『経済倫理学序説』で吉野作造賞、

84年に

『生まじめな戯れ』でサントリー学芸賞

『朝まで生テレビ!』などの

テレビ番組に度々出演したほか

94年からは自らが主幹を務める

雑誌『発言者』や2005年創刊の

『表現者』を中心に旺盛な言論活動を

続けた。

10年に芸術選奨文部科学大臣賞を

受賞。他の主著に『大衆への反逆』など

西部さんは

50代半ばから自死を公言。

近著『保守の真髄』でも

『生の周囲への貢献が

それへの迷惑を下回ること

確実となるなら、死すべき時期が

やってきたということ』と記述。

家族によれば、

遺書にも迷惑をかけたくない

旨が記されていたという。

親交のあった中島岳志・

東京工業大教授の話

『小林秀雄や

江藤淳など、

戦後日本の保守思想は

文学系統の人々が担ってきたが

西部先生は初めて社会科学的言語で

保守思想のあり方を

論理的に表現し、

時代状況の中で的確な言葉をあてた。

思想界にとって大きな損失だが、

残った人間が遺志を継いでいきたい』